◇御題小説
□家族
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僕は、僕の部屋でぺたんとカーペットに座り込んだ高松の背に寄り掛かる。
高松は、おやおや甘えん坊さんですね、なんて笑ってくしゃくしゃっと髪を撫でた。
静寂の中では、ぶすぶすと繊維の集合体へ突き進む針の音が、聞こえる。
高松は今、学校でシンちゃんにちぎられたウサギの人形を縫い合わせてくれている。
ぶすぶす。
ぶちっ。
すいーっ。
ぶちぶち。
たまにウサギの悲鳴が上がったような気がして、直視できない。
僕は程なく、大きな背中に守られながら眠りについた。
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