◇小説

□二人の世界
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高松が見て咎めるのは、僕の腕の傷。

始めは包丁で。恐くなってフォークで。刃物は鍵付きの棚に移動されたから、手当たり次第に鋭利なもので。例えばはさみとか。

僕はどうかしていると思い始めた。
だって、マゾじゃないからね。

苦痛を求めるのではなくて、矮小な自分を破壊してしまいたい衝動が突然訪れて、拳を握る。それだけではおさまらないから、要求通りに破壊しようとする。

僕は段々自分の考えが恐ろしくなって、高松に相談した。高松は僕が自傷行為を危険視するのをずっと待っていたって、寂しく笑って。

僕をどこかの部屋に閉じこめた。

壁紙も最低限の家具も全て白で統一されていて、頭が痛い。
ぬいぐるみも高松が揃えた真っ白なものだけ。

でも最初は高松のことを信じていたんだ。
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