◇小説

□七色花火1
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「グンマ様、はぐれないようにしっかり私の手を握っていてくださいね」
「…高松、握りすぎ」
「ああっ!すいません、つい…」
「あ!かき氷食べたーい!」
「おいしそうですね。何味にします?」

エスコートするどころか完全に主導権を握られる高松。グンマがねだるものは全て買い込み、荷物係りにまで徹する。

(綿飴に夢中で私を見もしないグンマ様。可愛らしい!)

人はそれをパシリと呼ぶ。

夕食や間食をたらふく買い込み、公園にシートを広げたのは午後六時半。開始時刻はまだ三十分も先だが周囲の場所取り戦争は終わっており、笑い合う恋人たちや乾杯を始める若者たちでうめつくされていた。

「グンマ様。他に食べたいものはありますか?」
「うーん…」

グンマはきょろきょろと見物客を見回し、小さな子供が大口を開けて格闘している食物を指差した。それは、まるまる一本のバナナに溶かしたチョコレートとカラースプレーを盛り付けた定番の品。

「あれなーに?」
「バナナチョコですねぇ。…あんなに口元を汚して、行儀の悪い」
「おいしそう!」
「オッケー、グンマ様!買ってきます!このシートから離れないでくださいね」
「はーい!」
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