◇小説

□秋
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さぁ、と風が通り過ぎ。
かさりとかすれた音をたてる葉。
それは灰色の地面にぶつかり。
死んだ落ち葉と同化する。

アスファルトの地面は相変わらず散らかっており、まとまることはなく、徐々に死に葉に浸食され。
木はやがて、その身から不必要な物を振り落としていく。


その光景をじっと見つめて、ふとグンマは空を見上げる。
数日前まで、あの太陽はもう少し上空に浮かんでいたのではないか。
時計はなく、時間の感覚に敏感なわけではないが、太陽の位置で全てを推測したのではなかったか。

季節は、太陽を変えうるものか。

「…あれ? 僕って本当に科学者?」

くすくすと笑うと、赤いマフラーに温かい息が掛かり、首もとが湿る。

「ああ…温かいな…」

両手でぎゅっとマフラーを握れば、容易く答えてくれる体温に、幾ばくかの嫉妬を覚える。
この場にいるのは、何故自分一人きりなのか。
それを考えると、どうしようもない不安感が押し寄せてきて、締め付けるマフラーが痛い。

「だれか迎えに来てくれないかなぁ」

いつの間にか、オレンジ色の太陽は夜に塗りつぶされていた。
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