◇小説
□秋
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薄暗い空に、枯れ木に、落ち葉に。
グンマの金髪と碧眼と赤いマフラーはよく映えて。
暗い季節は彼を異物と見なし、閉鎖した空間に閉じ込めていく。
それはまるで病原菌扱い。
……高松、シンちゃん、キンちゃん!
誰でもいいの! 助けて!
などと、叫べたら楽になるのだろうか。
必死に叩いても叩いても開かない壁を。
内側から砕けたら……。
「寒いよぅ…」
いっそ密閉された空間ならば、すきま風すら彼を苦しめることはない。
深まる秋に対抗する強さを、どうすれば得ることができるのかを、彼はまだ知らず。
夜が深まり。
やがて。
「永遠の闇、だけ…」
むしろ。
「永遠の眠りだけ」
そうなれば楽?
「誰か助けて…」
冬が彼を純白に作り替える前に。
彼が自身を破壊する前に…。
END