◇小説

□大好き
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ぷしゅっと間抜けな音を発し、廊下へと閉め出された高松。
彼は立ち去ることもなく、扉に背を預けて白衣のポケットをまさぐる。

いつもそうだ。
くだらない体裁ばかり考えて、彼が望むことをしてあげられない。
素直に組み敷いて、唇を落とし、白磁の肌を蹂躙し、そして……
何故、言えなかったのだろうか。
本当は、意地悪な言葉や態度よりも、ただこう言いたかっただけなのに。

ただいま戻りました。
愛しいグンマ様。

「つくづく、天邪鬼な性分が恨めしくなりますよ」

ポケットで掴んだ煙草を溜息と共に放し、扉へと向かう。
ぎこちなくとも、今度こそ素直に言えるように。





向き合う二人はそれでもすれ違って。
素直になれずに相手のために、少しだけ道を間違える。
後悔の溜息を漏らし再度向き合うも、どうしてもまた、すれ違う。
何度すれ違ったって何度だって振り向いて何度でもこう思う。

お帰り高松、大好きだよ。
ただいま戻りましたグンマ様、愛しております。


大好き。


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