◇御題小説

□なみだ
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思わず顔を押さえて緑の地面に膝をつき、熱くなった目頭に堪え切れずに、嗚咽が漏れる。
歯を食い縛ると情けない声が響くが、私はそれを止められない。

あなたを誰よりも愛したのは私なのに!
あなたは私から引き離されたまま、孤独の存在となってしまった!

赤の一族との闘争がなければ、彼の出生の秘密は私とサービスだけの胸のうちにあったはず。
青の一族に奪われなくて済んだはずなのに!

何故。
何故ですか、グンマ様?
あなたでなくてはいけない理由は?

ルーザー様やサービスや私の罪が暴かれたように、未来が過去の清算の場であるなら、血脈という永遠の罪を背負うはずのあの一族にその未来は訪れていない。
実際、あの連中はのうのうと現在を生きている。

彼らではなく、どうしてあなたなのですか?

…清算の必要がなかったグンマ様を犠牲にして、彼らは私から、次々と愛する人を奪っていく。


足に力を込めて立ち上がると、目標が一つ浮かび上がった。
低く喉を鳴らして、失った現実を遮る黒髪を掻き上げると、まだ青い空が視界に広がる。

例えばの話で、穢れたあの一族が清算のためだけに現在まで生き残ってきたならばどうだ。純粋で一族からはみ出していて、一族として罰を下すには忍びない人物だけが早世していったとしたらどうだ?

生き残った人物は、最大級の罰を受けるべき人間たちだ。
それでも今だ、奴らは生きている。

「…許せませんね」

ふつふつと浮かび上がる憎しみを感じ取り、私は墓に背を向け、静かに歩きだした。
あなたの存在を記された墓石に礼もせず、ゆったりとした足取りで。

…これから私がすることに、愛しいあなたを加担させたくはないから。

これは私のための復讐。
流すまいと誓った涙を代価にして得た、私の未来。

私はあなたのいない世界で、あなたの愛した、愛せざるを得なかった小さな世界を破壊します。

謝罪はしません。
さようならグンマ様。
あなたのことは決して忘れません。

何があろうとも。

<END>
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