08/31の日記

17:08
ショック。
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こんにちは。
高屋カエです。

会社員が帰宅するこの時間、接近する台風が多くの被害をもたらしているようですね。
リーマンショックです。
オーエルショックでもあります。

さてさて。
前回の日記のショートショートな話をアップします。
低いテンションのまままだ続きます。




『愛ではない何か』


わっと歓声が上がり、人垣の出来上がった箇所。
士官生たちの視線を浴びながら、日光を集める黒髪を揺らして力強く地を踏むシンタローがいた。
その後ろにはお菓子の袋を抱えて無邪気に笑うグンマの姿もあった。

「たいした人気ですねぇ……総帥の息子という肩書も彼自身の魅力には敵わないでしょう」
「まあ、シンちゃんだからね」

でれでれとマジックは笑う。

「あんなに人が群がって、暑苦しい」
「でも、シンちゃんは振り払うことをしない。来る者拒まずという姿勢が人の上に立つ者として必要な条件なんだよ」

しかし、シンタローが近寄ってきたアラシヤマを殴り飛ばすと、二人から乾いた笑みが零れた。

「それにしても、流石シンちゃん。グンちゃんをうまくリードしているね」

眉を寄せた高松がすっと目を凝らす。
確かにシンタローは人垣の中強引に前へ進むが、時折背後を窺って周囲に睨みをきかせている。
まるで、姫を先導する騎士のような振る舞いだ。

「……」

高松は紫煙で肺を満たした。

「そう、苦い顔をしないでくれたまえ」
「気のせいですよ」
「君は昔から黒髪の子供が嫌いだったから」
「はあ? 何を仰っているやら」

心底訳が解らない、と肩を竦める。
周囲の環境には黒髪の子供が数多くおり、医務員の彼を煩わせる者も少なくはない。
ただ、嫌悪という感情を向けたことは……

「……何を仰っているんです」

一人、癖のある黒髪を思い出し、高松はひとりごちる。
その記憶の中の彼が振り返りにやっと笑い、高松は舌打ちをした。


続。

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