黄昏れ時に
□黄昏れ時に
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そんな日々が何日かすぎ…正十字騎士団一行が到着した。奈美は仕事に追われながらも休憩もかねて時間をみつけて玄関へ向かった。ちなみに来ていた服は旅館の浴衣だ。
「やっほー皆久しぶり。遅かったねー」
「なっ奈美お前何でここに」
真っ先に反応してくれた燐に疲労もややピークに達してた事もあったのか、またまたやはり燐を気に掛けていたのか…奈美はうるうると涙がでそうになった。そして…本能のままに抱きついてみた。
「燐ーー!!元気だった?会いたかったよー!お姉さんは燐をひと眼見て安心したわー!!」
「うお!?大丈夫か?つーか俺はおまえの弟かっ!!そしてはなれろー」
「うん、大好きな弟。ひと肌っておちつかん?だめ??あ、しえみ一筋かごめん燐」
「なななななな」
ぷぷーっと笑う奈美に燐は激しく動揺した。もうそうですといったも同然なのに。
「奈美ちゃん。ええ感じのひと肌ここにもおりますえー?ほらほら」
語尾にハートまでつきそうな廉造に奈美はにっこりほほ笑んだ。
「それは彼女ように温存しとくといいよ」
「えー」
「じゃあ廉造くん達3人は八百造さんとこいくだろうから他の皆はついてきて!仕事してもらうから!」
そういって奈美は怪我人のいる部屋へ案内した。
「とりあえずしてもらうことは調理場で解毒用の薬草茶作ってもらえるからそれを給仕したり、点滴きれそうなとこに換えのパックもってくことがメイン!雑用だけど大切な仕事だから、しっかりね」
じゃといって奈美は自分の仕事に戻った……のだが、そう立たないうちに燐の手持ち無沙汰の状況を理解し、行き抜きでもするかと立ち上がった。
「燐、ちょっと暇?」
「おう!なんだする事あるのか?」
「ちょっと此処の仕事じゃなくなるんだけど…いい?」
「まかせろ!どうすればいい?」
「私、最近医工騎士の仕事がメインで動いてないでしょ?んで、急遽ヘルプで依頼来ても上手く動ける自信なくて…手合わせつきあってくんない?」
このとおりと手を合わせれば燐が待ってましたと目を輝かせた。
「いいぜ!任せろ。俺の得意分野だ!」
「うん。じゃあ任せた!ちょっと引き継ぎに時間かかるから待たせちゃうけどいい?」
「おう。適当になんか手伝って待ってる」
上機嫌にしっぽを揺らす燐に奈美はちいさく微笑んだ。さっき弟発言したのもあるがなんだか可愛い弟にしか見えない。