黄昏れ時に

□黄昏れ時に―多重異次元旅行記―
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――とある教会で、悪い噂があった。それはその教会で人が何人もきえているとい噂。今は使われていない為にお金のない旅人がよく泊まるその場所では、朝になると旅人の姿はなく、服だけが残っているというものだった。。。。。


そしてその噂の場所でひとりの少女――否、女性が見上げて様子を眺めていた。


「モア!ほ本当にはいるのか!?」

「町の人からこの教会について苦情が殺到しているの!人間が消えたのなんだの…」

「知ってる。呪われてんだろ?ここ」


ガタガタと大きい身体を震わす同僚の警官に女性――モアは溜息をはいた。


「チャールズ…それが警官の台詞??どうせ誰かが流した達の悪いホラよ。調べればわかるわ。この教会は呪われてなんかない!!」

「わ、わかったよ…」


そうモアに背中を押されながら、チャールズも観念して中に入った。



暫く使用されていないその教会は当然手入れもされてはおらず、教会内は劣化具合が酷かった。時々鳥やらの鳴き声も響く。いくら節約のためとはいえ、こんなとこで一夜は過ごしたくない場所だ。


二人は暫く進むとなにか、固まりをみつけた。調度人のような…駆けよればそれはまさしく…



「人じゃない!!」

「ほ、ほんとうか?生きてる?」

「ええ…けど体中ぼろぼろだわ」


その場所にはひとりの少女が倒れていた。服も身体もぼろぼろな状態でそこにいた。生きているのが幸いといえば幸いだ。


チャールズは噂はやっぱり本当なんだ…とよりいっそうがたがたと震えて後ずさったそんな時だった。


「ぎゃあっ」

「何!?」

「あ、足に…」

「なんだ、猫よ」

「え?」



バサバサバサバサッ…



なんの音だろうと二人は段々近づく翼の音に振り替えった。すると…そこには大量のコウモリが迫っていた。



「うわ…うわああああ






           だ、大丈夫かモア!……!?モア!??」





チャールズの大声が響く。やがてコウモリが去ったそこにはチャールズだけが残っていた。









そのモアは大量のコウモリのむれに揉まれ、捕まっていた。…正しくはコウモリに紛れて潜んでいた人に捕まっていた



「捕まえた…今度こそ逃がさないぞ」


ゲホッ


「!?人間?どうしてこんなトコに…」



うろたえる声に構わずモアは隙を見て手錠をかけた。



「こいつよくも…何者だ!!」

「ご、ごめんなさい。つい夢中で気がつかなくて…猫を捕まえようとしただけでして…その…ただの旅人です…



目を細めてモアはどういった人物か捕らえようとした。窓から差し込む月の光を頼りに確認できたのは、両手をあげた気の弱そうな少年だった。



「――へえここってそんな物騒なうわさがあるんですか。僕は今朝この町に来たんですけど、この野良猫に大事なものをとられてしまいましてずっと探しまわってたんです。」


「………」

「ほ、本当です!!」

「なに?じゃあこの少女は関係ないってこと?」

「な、なんの話ですか!僕は何もやってません!!」


静かに眠る少女の事をさせば少年は違うと全力で否定した。胡散臭いし取りあえず不審者として身柄を確保する必要があると判断したモアは眠る少女にも手錠をかけ、チャールズを一先ず呼ぶ事にした。


「とにかく仲間を呼ぶから待ってなさい」


ギャアアアアアアア


「な、何!?」


ドドドドドドドドドドドドド


チャールズの叫び声に銃弾の音、それに戦慄を覚えた。


「あの、」

「君はここにいて!!」




「誰だ!!」



全力で、音の聞こえた方向へ走った。そこには同僚が無残な姿でいた。声が、乾いて上手く出ない。『チャールズ』、名前を呼ぼうとすれば、それには身体全体に星の形状のようなものが浮かび上がり、やがて粉砕した。目の前で服だけをのこして


!!


「そんな…まさか噂は本当に…!!なに?のどがくるし…」

「気をつけて。この死体のガスは有毒です。アクマに殺される」

「あ…」

「お巡りさん!?」


――悪魔???――





モアはそこで意識を失った。










はっと目を覚まし、モアは勢いよく身体を起こした。そこには上司がいて、勢いよくモアをある一室まで引っ張った。



「警部、モア巡査が目を覚ましました。」

「はいれ」


そこで思考が覚醒してきたモアは昨夜の大事件の事を思い出した。


「そうだ…チャールズが…」

「わかっとる。今その容疑者を調べてるところだ」

「え?」


はいった先にいた容疑者を目にしたモアは拍子抜けした。何故かといえば、そこにいたのは昨夜自分が捕まえた少年だったからだ。


「名前はアレン・ウォーカー住所不定無国籍の未成年者。貴様がやったんだろ!!」

「僕はやってませんってば!!」


警部が怒鳴れば少年――アレンは涙ながらに訴えた。


「なんでそうなるんですか!僕は気絶したお巡りさんと気絶していた女性をここに運んだだけなのに!!」

「お前あの教会にいたんだろうが!怪しい!それにこの手真っ赤じゃあねーか!!」

「あ。これはもともとで…」


ぐいっと手をひけば、よくよくみた警部はその手のおぞましさに鳥肌を立たせた。手は作られたように赤く、十字架のようなものが手の甲に埋め込まれていた。

そんな中、モアはかばうように前にでた。


「あ、あのこの少年は事件が終わるまで自分と一緒でした」

「何!?」

「警部、犯行現場にはかなりの大型の銃器とみられる弾痕が残っとります。しかしこの少年の所持品は猫一匹!今の所教会にもそれらしい銃器はみつかっておりません…」

「何故気絶などしたモア・ヘッセ巡査!!」

「申し訳ありません…」

「ぼく犯人しってますよ?」



ニコリと笑顔で手をあげるアレン少年に二人は振り返った。



「姿はみていませんが、どういうものか知ってます。捜査に協力させて下さい。犯人の名称は『AKUMA』僕、立場上よく出会うんです。あれは殺人の経験値を積めば積むほど強くなる。まだまだ殺します。早く止めないと手に負えなくなりますよ?この十字架は対アクマ武器です。エクソシストってご存知ですか?アクマ退治専門の聖職者なんですが」



アレンに対し、警部は鼻をならした。


「エクソシストォ?なんだそりゃあ!もーいいよお前。とりあえず保留!俺は現場に戻るからモア巡査お前は自宅でこいつと女の見張りだ!」



しっしと手を振る警部にアレンもモアも大層落ち込んだ。







それからまもなく――モアは自宅謹慎かと落ち込みつつ、アレンに外出禁止と一言つげ、食事を作りに行った。残されたアレンは溜息をついた




「そんなこといわれてもなあ…」

「う……ん………んん???」

「あ、目を覚ましました?」

「こ、ここは…っっ!!」

「あ、ぼろぼろだったから動くと身体に響きますよ?」



かけよれば少女は痛かったのだろう、頷きつつもうずくまりながらゆっくり身体を寝台に戻し、――そしてアレンの顔を見つめてフリーズした。


「え?」

「はい?ああすみません。僕はアレン・ウォーカーっていいます。わけあって昨夜教会にいたところ事件に遭遇しまして…その場にいた僕も、気を失って倒れていた貴方も此処に暫くいる事になったんです」



なにも喋らない少女にアレンは怖がらせないように笑顔で話す事を努めながら今、この部屋にいる過程を説明した。


「………。…わたしは藤本奈美。ごめんなさいアレンさん、私の荷物は此方にあるでしょうか…」

「奈美というんですね。僕の事はアレンでいいですよ。言葉づかいも普通で構わないですし。いえ…あ、ひょっとしたら教会にあるかもしれません!」



おもいつめていう奈美にアレンは暫く悩んだ後取りに行ってきますから休んでいて下さいと立ち上がった。



「!けどそれではアレンに」

「けれど奈美?レディにそんな思いつめた顔をさせ続けたくはありません。ばれなければ大丈夫ですよ」



そう微笑むアレンに奈美は赤面した。そんなモアに見つかって怒られる少し前のことだった。



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