黄昏れ時に
□黄昏れ時に
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入学式の朝、奈美は雪男を待ち伏せするために、出雲達とは別れて門前で待機していた。そんなとき、少し離れた場所で特徴的過ぎるピンクの外車を見つけた。
当然、注目してしまう訳で…一瞬開けられたドアから雪男と――燐の姿が見えた気がした。
(ああーーおじさまの後見人に理事長がついた…のかな?でないとおかしいし。けど…)
奈美は確信に迫りつつ、その停車している外車に向かって歩み出した。まずは二人に会おう。燐が『生きている』ということは、燐がなにか、理事長の…メフィストの気に入るような、興味を引く何かを発言して、こんなとこまで来たんだろうと考えて。
そしてあと車まで少しで、やっと学生服を着た良く知る二人が出てきた。…うん。良く似合ってる。
「兄さん。貴重品以外あっちのクロークに預けられるみたいだ」
「チッ」
「緊張してきた…」
「「何が?ただの入学式だろ?/じゃんか?」」
「「!?」」
「やっほ」
驚くように振り返る二人に奈美はしてやったりとほくそ笑んだ。
「おはようふたりとも。これからいろいろと宜しくね!」
「なっ…奈美?!なんでお前が此処にいんだよ!」
「だって此処に通うし。むしろ燐が通う事のがビックリだよ!雪男!私聞いてないんだけど」
「ははは…実は僕も最近知ったんだ」
「まあファウストさんが後見人につけばなんでもありだって思っとくよ」
「うん。それでいいと思う」
「おい二人ともどーゆー意味だよそれ!」
「大丈夫。燐が馬鹿だからこんなとこ受けるわけがないだなんてこれっぽっちも思ってないからねー…ふふっ」
くすりと笑えば、燐はあからさまに憤慨した。
「って思ってんのかよ!」
「まあいいじゃん!これからよろしくね!そういえば燐って普通科?同じクラスかも!掲示板見に行こうよ!ね?」
手を掴んで燐を引っ張れば、雪男は苦笑しながら二人に手をひらひら振った。
(そういえば…さ、)
(うん?)
(制服姿、良く似合ってるぜ!)
(ありがと!この前は言えなかったけど…燐すごくカッコいいよ!いつの間にかこんなにも身長差あるってのが腹立たしいけど)
(……だよな!お前身長伸びてねえんじゃね?)
(ひっ人が気にしてる事を…!ええええそうですよ!中学校全く伸びなかったけどなにか?身長よこせってーの!)
(へっへっへー!お?おい奈美!クラス同じみたいだぜ?)
(本当!?やった!)
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仲が良いのか悪いのか(笑)