短篇小説
□気づけず
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(ん…??なにかいつもと違うような…)
ルキアは朝から首をかしげていた。
それは、いつもどうりにベッドから起き上がった時、なんだか頭がぼーっとしている気がしたからだ。
それでも、朝なのだから、こういう時もあるか、とさして気にも留めずに着替えを始めた。
気づけず
「あ、ルキアちゃん、おはよう!!」
「おはようルキ姉。」
「おはよう、遊子、夏梨。」
ルキアは朝食を食べるため、一階へと下り、コンロの前に立つ遊子と、テーブルについている夏梨と挨拶を交わした。
「あれ?…ルキ姉、なんかいつもと違くない?」
「??」
急に夏梨がルキアを見るなり、そう言ってきた。
ルキアは、いったい何が違うのか分からず、ハテナを飛ばしながら自分の身をきょろきょろ見渡して、確認した。
言った夏梨も、どこが違うかは分からないらしく、ルキアを見続ける。
「リボンだよ、制服のリボンが無いせいじゃない??」
いったいいつの間にルキアを見たのだか、フライパンを動かしながら遊子がそう指摘した。
言われたとおり、ルキアはリボンをしていなかった。
「本当だー。」
「すごいな遊子!!」
「えへへ」
「それにしても、どうしたの?ルキ姉。リボンなくしたの???」
「え?いや、そんなことはないぞ。単なる付け忘れだ。ちょっとつけてくる」
そう言って、ルキアはまた階段を上り、自分の部屋に戻っていった。
(変だな、いつもしていることなのに忘れるなんて…。しゃきっとせねば!!)
そう思いながら、リボンを手に取り、すばやく身に着け、またリビングへと急いだ。