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□てて弟
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私が高校2年、テヒョンが中学3年の頃。
私は仲の良い男女のグループで遊びに行く約束をしていた。

当時少し気になってた男の子がその中にいたものだから、わたしはいつもよりはりきって着飾った。中の下ではなく中ぐらいになれたような気がした。


「あれ?ヌナどっか出かけるの?」

「うん、友達と」


玄関で靴を履いてると後ろにテヒョンが立っていた。


「そんなにおしゃれして…」

「ん?」

「男もいるの?」


靴を履いて立ち上がった私の腕をテヒョンはぎゅっと握った。


「うん。男子と女子と何人かで」

「だめ、心配」


ぎゅっと強く腕を握り直したテヒョンは、眉を顰めた。私はそんな様子のテヒョンに訳がわからなかった。


「何が?」

「今日のヌナ………可愛いから」

「え?ありがとう」


急に褒められたわたしは素直にお礼を言うが、テヒョンにため息をつかれた。


「男は危ないよ。行くのやめよ?」

「えー、何で!皆に行くって約束してるから無理」

「だめ!行ったらヌナ襲われちゃう」

「ぇ、え、おそ、襲われる???」


一瞬テヒョンが言った言葉の意味が分からなかった。まさか純粋な弟から襲われるという単語が出てくると思わなかったので、動揺してしまう。


「な、何言ってるの!私は可愛くないから大丈夫だしっ」

「ヌナこそ何言ってるの!ヌナは可愛いよ!可愛いから襲われちゃう!行っちゃだめっ!!」

「いやいや、悲しいけど誰も私のことみてないから!」

はたから聞いたらバカップルみたいなやりとりだが、あくまで弟である。
綺麗でイケメンな弟に可愛いと言われるのは嬉しいけど、絶対家族フィルターがかかってると思う。だって私が可愛かったら今まで告白されてるだろうし。


「あぁっ!もうこんな時間じゃん!行ってきます!!」

「あっ!ヌナッ!!」


集合時間に間に合わなくなりそうだったので、テヒョンの腕を振り払って家を出た。






「これから、カラオケ行こ〜」

この近い距離も嬉しいはずなのに、なぜだか一歩引いてしまう。それをまた彼は詰めてきた。


ぎゅっ
「っ、」


すると彼は私の手を強く握ってきた。
テヒョンの細長い繊細な手ではなく、どこかごつごつして汗ばんだそれは、ドキドキする事もなくゾワッと何故か鳥肌がたってしまった。


「美香、キスして良い?」

「えっ?」


そして熱が籠った目でこちらを見てくる。
急な展開に頭が追いつかず、顔を寄せてくる彼を押し返そうとするが、力が強くてどんどん距離が縮まる。


「まって…ゃだ、やめてってば!」
パァン!


あまりにも引かない彼の頬を叩く。
一瞬叩いてしまった事に焦るが、彼がその瞬間ギロっと睨んできた。


「調子のんなよ、ブスが」

「え?」

「俺の事好きそうだから、可愛くなくても相手してやろうと思ってたのに」


急に豹変した態度に、身体が震え始める。
早くここから逃げなきゃ、


「優しくしてやろうと思ったけど、ブスに優しくする必要ねぇよな」


そう言うと、彼は動けない私の上に馬乗りになり、



「テヒョンどうして、わかったの」


テヒョンは、小さく呟くように答えた。
駅を歩いていると私の友達を見つけたらしくて、私がどうしているか聞いたとき、あの男の子と2人と教えられたらしい。テヒョンは心配になって私に連絡をするも繋がらなかったから、直接来たのだった。
場所はきっと友達にでも聞いたのだろう。


「何で行ったの…やっぱり、行かせるんじゃなかった…」

「…っ」


家に着く前にそう呟かれたわたしは、何だか自分が惨めに感じ、悲しくて涙がポロポロと溢れだしてしまった。
身体が震えた事に気付いたテヒョンは、焦ったように振り向いた。


「っ、ヌナ…」

「テヒョン、ごめっ…っう」

「…っ、」


テヒョンの前で泣きたくないのに、惨めで悔しい気持ちが溢れて涙が止まらなかった。
テヒョンは顔を一瞬苦しそうに歪ませると、私の腕を引っ張って家の中に入れた。そうして玄関で靴も脱がず、性急に抱きしめられる。


「ヌナ…ごめん、怖かったのに。優しく出来なくて」

「テヒョ…っう、っ」

「ヌナ…泣かないで…」


テヒョンの抱きしめる腕が少し痛かったけど、彼の体温の高い身体に頭を預けると酷く安心した。胸板から聞こえる心音が心地よかった。


「ヌナ…部屋に行こう」



「不思議…テヒョンがぎゅっとしてくれると落ち着く」

「本当?へへっ、嬉しい」

「でも、まださわれた所気持ち悪くてドクドク言ってる…嫌だ」

「ねぇ…ヌナ、」


そう言って顔をあげると、彼の大きな瞳と目が合った。



「どこ触られた?」


「太もも…ぁ、」


テヒョンの指が服の上から恐る恐る私の太ももに触れる。細くて長い指先が触られた場所を伺うように動く。

「ヌナの気持ち悪いの、俺が直してあげる」

「テヒョン…」






「他は?」

「ここ…」


私は視線で自分の胸を見た。テヒョンの瞳は揺らめきながら、服の上から私の胸に掌をのせた。


「どんなふうに?」










「他は?…ここも?」

テヒョンは私の唇に指先で触れる。熱が籠った彼の瞳に私は一瞬我にかえった。
太ももと直接触られた露わになっている乳房がテヒョンの響く低い声で肌が粟立つ。


私、何をっ


「そこはちが、もう大丈っ…んぐっ!」


もういいと言おうとした口の中に指を入れられた。


「テヒョ…っぐ、ぁ」

舌を指で押さられる。急な息苦しさに顔をひこうとするが、



舌を撫でられて、嗚咽と共に唾液が出てしまう。先ほど身体に触れていた指が私の柔らかなそこにテヒョンの指の感覚を残していく。


「テヒョ、…」

涙目になりながらテヒョンを見上げると、一瞬顔を顰めた。そして静かに息を吐くと私の口から指を引き抜いた。


「ちゅぷ…はぁ」

「…っ、」


その唾液に濡れた指をテヒョンは口に拭くむと、ゆっくりと舐めとった。緩慢としたその動作は妖艶な空気があり、絵になるような美しさで思わず見惚れてしまう。


「はぁ…ヌナ」

もう良いと言おうとした瞬間、彼の唇が私の唇を奪った。




「ん、はぁ…ちゅぶっ、ちゅばっ…ぁ、てひょ、ンンッ」


舌と舌が絡まりあう。ざらざらと柔らかく蠢くそれは美香の舌に執拗に這う。にゅるにゅると何度も自身の舌を根本からさすられ、息継ぎも必死に美香の意識は白くなっていく。
さすられるたびに下半身に電流が走るようにビクビクと震えて疼く。


なに、これ…?


美香は感じた事のない感覚に身体が厭らしく動く。あの男の子にされたものとは全く別格のそれは、ふわふわとさせ気持ちいいとしか頭に流れてこなかった。
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