短篇

□サンタクロースが遅刻した
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ばかばか嘘つき。もうトシなんてだいっきらい!消えちゃえこの糞マヨラー!!



12月25日。いえす様とか言う神様的な人の誕生日らしい。世間一般ではクリスマスと呼ばれる日。クリスマスは恋人と二人キラキラと飾り立てられた街を練り歩いたり、互いに用意したプレゼントを交換してほのぼのと愛を深めあったり…するもんでしょ?私だってクリスマスはトシとそうする予定だった。デート用の服だって用意してたしプレゼントだって何日も前から準備していた。
悪い、仕事が入った。…え?ごめんな…夜までには終わらせっから、待っててくれるか?…うん、分かった。
トシのばかばか嘘つき野郎!なによトシってば時間も読めなくなっちゃったの?もう25日はとっくに終わってるよ?窓の外を見てももう色とりどりの光は消えて見えるのは質素な街灯の明かりだけ。二人でイルミネーション見たかったのに。一緒に綺麗だねって言いたかったのに。



お天道様が東の空から少しずつ顔を出し始めた。ケータイのディスプレイを見ても愛しい人の名前はどこにもない。
仕事が忙しい事くらい分かってる。とくにクリスマスみたいなお祭り事は変質者やら何やらが多いから警察である彼は休んでいる訳にはいかないんだろう。分かってる。そんなこと分かってるんだ。…だけど、それでも会いたかった。仕事なんて放り出して会いに来てほしかった。だって普段から会えないんだよ?今日は会えるって、そう言ってくれたからすごく楽しみにしてたのに。



考えはそこで止めた。なんて我が儘な女なんだ私は。トシの職業分かってて、辛い思いするって分かっててそれでも好きだから付き合う事決めたのに。こんなんじゃトシに嫌われちゃうよ。

そうこうしているうちに段々瞼が重くなってきた。もうこんな時間、トシから連絡が来ることはないだろう。そう思った私は涙が溜まった瞳をそっと閉じた。





ガタガタ。窓が揺れる音がする。ああ、風強いのかなー何て寝ぼけた頭で考えていたら額に柔らかな感触が触れた。次に瞼、頬、そして唇。突然のことに驚いて閉じていた目を思わず開いた。

「あ、え…?なん、で」
「悪かったな…、クリスマス終わっちまった…。」

ぼやけた視界の先にはずっと待ち焦がれていたトシの姿。…トシの…すが、た…?

「え、トシ!?何があったの!?」

彼を見ると全身が赤に染まっていた。それはもう、頭の先から爪先に至るまで。

「お前見てェっつってたろ。」
「でもすっごい嫌がってたじゃん!なんで…こんな…!」

夢でも見ているんじゃないかと思った。いつも隊服か着物しか着ないトシがサンタの恰好をしているなんて。それもご丁寧に帽子まで被って。

「…待たせた詫びだ。案の定泣いてやがったなお前。」

これでも見て笑いやがれ、と頬まで赤く染め上げてトシはまたキスをくれた。








 
















(こんなことされちゃあ許さない訳にはいかないや)



イルミネーションが朝日ってのも悪かないかもね。








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ザ☆不法侵入\^q^/


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