「アンタなんか嫌いよ。」
さあ今から戦争に行こうかって時に俺を見送りに来たらしい女は眩しいくらいの笑顔を作ってそう言った。
俺とコイツは鼻たれの餓鬼んちょの時からの悪友だった。友達でも親友でもなく本当の悪友。隙さえありゃ二人勉強よりも悪戯に励んで松陽先生に怒られてた。女のくせに気取ってなくてがさつで下品で、だけど誰よりも優しいコイツが嫌いでもあり好きだった。
「ホント大っ嫌い。」
生死を懸けた戦いをしに行く相手に対してそりゃねーだろと思いつつ奴の顔が余りにもぐしゃぐしゃで可笑しくて「俺もオメーなんか嫌いだ」って笑ってやったら「いや私の方が嫌いだし」と即答されてしまった。
お互い不適な笑みを浮かべたままそれ以上の言葉を交わす事なく俺は奴に背を向け歩き出した。途端に感じた頬に伝う温かい何かに俺は気付かぬふりをした。
どこからが戦場だろうか
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090107~
当初予定していたものと全くの別物に。愛し合っているのに想いを伝えられないという切なさを書きたかった…はず。
title 誰花