サラバ俺の日常よ!(長編)

□嘘だ、虚言だ、幻覚だ!
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 Good morning!
 皆さん、おはようございます。


 えっ?何?
 こっちとそっちとじゃ、時間が違うって? そんなの知ったこっちゃない。こっちは朝なんだからこれでいいの。もし、おっちょこちょいな彼女(もしくは彼氏)が海外から時間外れのモーニングコールして来たらどうするんだよ。広い心を持とうよ。


 因みに俺はあるぜ? 残念ながら姉からだが。(姉の場合は知っててやってるから質が悪い)



 っと、ついつい喧嘩腰になってしまった。と言うのも、俺の機嫌が悪いのには訳がある。
それは、今朝の事……






 俺は窓から差すほのかな光に目を覚ました。

 目を開けると其処には見覚えの無い天井。体を起こして周りを見てみると、見慣れた洋室の自室ではなく、殺風景な和室。

 そこでふと、昨日の事を思い出した。


「ああ、そうか。俺、異世界に来たんだった……」


 ……自分で言っててわざとらしいと思った事は此所だけの話だ。

 取り敢えず布団を畳み、昨日薊さんが出していた所に仕舞っておいた。そこでふと、自分が昨日の服のままな事に気が付いた。昨日あのまま寝てしまったのか……

 まぁ仕方がないか、と思いながら
 窓際の掛け時計越しに外を見た。


 時刻は 5:30を少し回ったところ。空は白み始め、僅かに顔を見せ始めた太陽によって大気が暖められ、寒暖の差によって霧、(いやこの場合は霞と言うべきだろうか)が出来ていた。


 もう大分前から習慣付いてしまっているのだろう、何時もと同じ起床時間な事に、これだけ周りを取り巻く環境が変わっているのに習慣とは恐ろしいものだと思った。


「朝か……今日は晴れそうだな。…………って…は?」


 あれ? 何で朝…?



 記憶を呼び戻せ梁!『さっきまで俺の影を伸ばし、辺りをオレンジに染め上げていた夕日は朝日となって、今まさに地平線から顔を出し始めた所だ』……って事は俺が床についたのは明け方。幾らなんでも寝て直ぐ起きて、ということは無いし。一日中眠ってた事になるぞ。


「うっそお?! マジかよー!!」


 思わず叫んじまったよ!


 俺の声が聞こえたのか、足音が慌ただしく聞こえてきた。その足音は勢いをそのままに、勢い良くドアが開かれ………


「ぐへっ」


 ……その人、薊さんに飛び付かれた。

 く、首が絞まって苦しいです、薊さん。



「ああっ、良かった。心配したのよ。貴方死んだ様に眠ったまま起きないんだもの」


 そう言って尚もぎゅうぎゅう抱き付いてくる。彼女のスキンシップが意外にも激しい事は分かったが、正直喉が絞まって苦しい……


 ヤバい……何かキラキラした川に掛かった橋が見える………


 俺が色んな意味で目を白黒させていると、ため息が聞こえた。


「薊、離してやりなさい。梁が苦しがっているぞ」


「! き…きょうしろう…さん…」

 マジで助けて! このままじゃ、あの橋渡っちゃう。

 京史朗さんは俺の目を見た後、またため息をついて俺と薊さんを引き離した。


「ゲホッ、ゲホゲホッ………はぁ生き返った……」


「御免なさい柳瀬さん。つい嬉しくって」


 薊さんは気まずそうに謝ってくれた。それに返す前に京史朗さんが割って入った。


「それで、体の方はいいのか?何処か悪いところは無いのか?」


 それに賛同するように薊さんも続ける。


「そうですよ。何しろ二日も死んだ様に眠ったままだったんですもの」


 ええっ、俺二日も寝てたの? 通りで体がだるい訳だ。妙に肩や首が凝ってたし。



「それは、ご迷惑をお掛けしてスミマセンデシタ……」


 その返事を聞いて薊さんはほっとした様な、京史朗さんはやれやれと言う様な顔をした。



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