企画部屋

□一万打感謝 1位,先生×生徒
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ガラガラガラ

軽やかな音を立てて開いた扉。
些か緊張していたのに、部屋の中には誰もいなくて。

「んだよ、呼び出しといて…」

ぶつぶつと文句を言いながら、部屋の中央にある長机の椅子のうち一つに座る。
それから、机の上に突っ伏して。

「はぁ…」

溜め息を一つ。
緊張の糸が切れてしまった。
どうにも動かない体を望み通り動かさず、静かに瞼を閉じる。
何だか、酷く疲れた。


「ひばり…、」

早く会いたい。
早く帰ってこい。
自分からこの化学準備室に呼び出しておいて遅刻だなんて。
来たら遅刻の理由を問いつめてやる。
いつも、彼奴がしてくるように。









「ああ、もう来てたんだ」

待ち望んでいた声が響いたのは、それから数分後のこと。

「遅い」
「…寂しかったの?」
「っ、誰が…」

雲雀は俺の横に腰掛けて、そっと髪を撫でてくれた。
それだけで、疲れていた心が暖かくなる。

「ごめんね。拗ねないで?」
「拗ねてねぇよ…っ」

ああもう、これじゃあ「拗ねてます」って言ってるようなものじゃないか。
確かに雲雀が遅かったから怒ってはいるけど、でも。
雲雀とこうやって話をしていると、イライラも何もかも飛んでいくから。

「悪いと思ってんなら行動で示せ」
「行動、ね…」

少し考える素振りを見せてから、雲雀は俺の体をぎゅっと抱き締める。

「な、何やって…!」
「違った?」

違わない、けど。
そんなこと言えるはずもなく、自然と無言になる。
少しだけ熱を持った頬を隠すように俯けば、雲雀がそんな俺を見て微笑う。

「可愛い」
「可愛くねぇよばか…」

何気ない仕草が、一つ一つの言葉が、俺の心を捕える。
捕まって、絡めとられて、離れられない。
もっと、ずっと側にいたくなる。
こんな関係、いつ壊れるかもわからない脆いものなのに。
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