こどもべや文

□クラス名の由来について
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とある保育園の職員室。
真ん中にある大きめの机を囲むようにして、8人の男女が座っていた。
年齢も性別も外見も、国籍すらばらばらな彼らに共通するのは一つ。

身に纏う可愛いらしいエプロンだった。





「いよいよ来週からこの保育園も始動するんだけれど、私一つ大事なことに気づいたのよ」
「何かあったか?」


オレンジのエプロンを身につけた優しげな女性、ルーチェがぽつりと呟く。
それに相槌を返したのは、とてもこの可愛いらしい保育園の外装に似合わない男、リボーン。
ちなみに彼が何故保育士を志したのかは、この保育園の七不思議だ。


「まだ組の名前を決めてなかったわ」
「…それは大問題じゃねぇか?」
「そうよ。だから今から皆で決めましょう」


少しも悪びれることなく微笑むルーチェに、リボーンは思わず苦虫を噛み潰したような顔をする。

「3クラス作りたいのだけど…、コロネロはどう思う?」


ルーチェが、まずは隣に座っていたコロネロに声をかける。
コロネロ、と呼ばれた青いエプロンの青年は少し思案して。


「コーラ、ソーダ、ラムネ組でどうだ、コラ!」
「そんな保育園おかしいだろう!」
「じゃあラル、お前はどう思うんだ?」


コロネロの言葉に迷彩柄のエプロンの女性、ラル・ミルチは暫く考える。
保育園のクラスの名前なんていきなり言われても難しいものではあるけれど。


「…ライフル、二丁拳銃、ハンドガンでどうだ」
「そんな名前ナンセンスだね」
「何?」

ラルの提案に口を挟んだのは、藍色のエプロンを着たバイパー。
彼(もしくは彼女)は性別が不明な上、常にフードを被っているため誰一人素顔を見たことがないという、
非常に怪しい人間だ。


「じゃあお前ならどんな名前にするんだ?コラ」
「…そうだね、ドル、ユーロ、円ってところかな」

「…全く、貴様らの程度の低い名前には反吐が出る」
「じゃあ君はどんな名前をつけるって言うのさ」

バイパーの不満気な声に、緑のエプロンのウヴェルデは眼鏡を少し上げる。
ちなみに彼もリボーンに次いで保育士とは思えない。
しかもエプロンの上から白衣をはおるという訳の分からない外見だ。


「ここは崇高なる科学の精神に則って」
「園児が覚えられるような名前が良いわ」

ヴェルデがその名を口にするよりも早くルーチェににこやかに遮られる。
笑顔の筈なのにヴェルデをも黙らせるこの迫力は何だろう。
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