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「獄寺総受け童話パロ《白雪姫》」



【白煙を身に纏い降り頻る雪のように止むことのない怒濤の攻撃に悲鳴が上がる
略して、白雪悲め…もとい白雪姫のお話】








「はぁ……」


物語が始まるはずの何処かのお城の一室では、男が一人、憂いを帯びた溜め息を吐いていた。


「どうして僕は毎度毎度こういうポジションなんでしょうね…
僕だって隼人君争奪戦に参加したいのに、隼人君を愛するどころか憎む役だなんて…っ、耐えきれません!」


男は何かを決意したように立ち上がり、カツカツと靴音を鳴らしながら部屋の中央にある鏡へと向かう。
その前に立ち、スッと手を鏡に滑らせて。


「鏡よ鏡、隼人君は今何処にいますか」
「…骸様、セリフが違」
「良いんですクローム!隼人君は何処にいるのか教えなさい」
「…隼人じゃなくて、白雪姫です」
「白雪姫は今何処にいるんですか!」


あくまでも物語に忠実なクローム(鏡)に痺れを切らした男は声を荒げる。
それに全く動じないクロームは、淡々と返答して。


「森の中です」
「ほう、森に……。って早くないですか!?本来なら僕が森に追放する段取りじゃ…」
「白雪姫が自ら迷ってしまったようで…」
「……ああ、隼人君、そんなちょっと抜けている所も愛おしい…!!
…と、そうと分かればこんなことをしている場合ではありません!」
「骸様、何処へ…!」
「隼人君が小人と、更には王子と出会うのを阻止するのです。
そして、魔法使いである僕こそが隼人君と結ばれる!これぞ新たなハッピーエンド!!」
「む、骸様、それは台本に無…」
「犬、千種、着いてきなさい!」

「了解だぴょん!」
「…白雪姫は、渡さない」


制止も聞かず意気揚々と出て行った3人(魔法使いとその使い魔)に、残されたクロームは一人立ち尽くして。
暫くの後に、鏡の衣装を脱ぎ捨て、三叉槍をギュッと握り締めた。



「…私も、戦う」



こうして、白雪姫を巡る戦いは、幕を開けた―――


→その頃の白雪姫



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