「あは……はっ…はは…」
狂ったように笑う忍の姿
「真っ赤……みーんな…真っ赤……綺麗…」
血にまみれた闇烏を両手に持ち、ふらふらと歩き続ける
「ねぇ…旦那……敵討ち…したよ?」
今は無き主の名を言いながら
*-*-*
「この戦…俺は命を落とすだろう」
「何馬鹿なこと言ってんの?旦那らしくないよ」
「………」
「あのねぇ……俺様が守ってるんだから、旦那は死なない。いや…死なせたりするかよ」
「佐助……」
「たとえ俺様が四肢を失おうとも、命をかけて旦那を守る」
「……しかし、相手はあの魔王…」
「幸村様……!!」
「どうした!?」
「織田の軍勢が……!!」
*-*-*
「嫌だねぇ……こんなときに、まさかアンタに会うとはね…明智の旦那」
「……ククク…私は嬉しいですよ、同じ血に飢えたあなたに会えて…」
「……血に飢えた?何言ってんのさ…俺様はアンタと同じじゃない!!」
「おや……?あなたは闇に堕ちていないのですか?」
「お生憎様、俺様は闇を飼い慣らしてるんでね」
「あなたは……飼い犬に手を掻まれる…という言葉をご存知でしょうか?」
「それが何?」
「闇も同じ、飼い犬なんですよ……アハハハ…ッ…」
*-*-*
「……うあ、あぁ…っ!!」
「フン……主を失って狂ったか、忍めが…」
「……黙れ!!よくも、旦那を!!」
「……光秀はこんな小者に負けた…愚かなことよ」
「………魔王…覚悟しろよ」
「忍ごときが我に勝てると思ったか!!」
*-*-*
「……ぐっ…」
「ぁはは……は…」
「まさか…忍に……我が」
「まだ生きてたの……?早く、死ね……」
「がぁあ……っ…」
*-*-*
ふらふらと歩き続ける忍
「……旦那…」
血に倒れ伏した主の体を抱き上げる
「ずーっと、一緒だから…寂しくないよ……」
その姿は何処へと消え去ってゆく
*-*-*
別世界