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「ん…」
ルシウスの声を合図に僕は目を開いた。
「ルシウス…」
ふと唇が離れ、お互いの瞳を覗き込む。
ルシウスが泣きそうな顔をしている。
それに対して彼の瞳に映る自分の顔は微笑を湛えていた。

「アーサー…あの女と結婚するのか?」

僕らはもう戻れない。

「うん」
ルシウスは驚いたように顔をあげた。
まだ唾液の乾いていない唇がひどく扇情的だ。
彼はゆらりとよろめいて、それをすかさず僕は抱きとめた。

裏切りだと思ったのだろうか。


「君だってそうだろう?ナルシッサ・ブラックが卒業したら結婚するんだろう?」
「あれは、生まれた時から決まっていた」
「それはモリーと僕も同じだよ」
「お前たちも許嫁だったのか?」

ルシウスは金髪の睫毛を震わせて目を瞬く。

なんて嬉しそうに、安堵の表情を浮かべるんだ君は。

「違うよ。愛し合うのが必然で、運命だってこと」
はあ、ルシウスは溜め息を吐きアーサーの胸に顔を隠した。

ルシウスの背を撫でてやろうとした。
でもそうはしなかった。
ここで縋る彼に触れてしまったら、決心が鈍ってしまう。


「ルシウス?」

顔が見たいんだ、とは言えずに半ば強引に彼の肩を掴み引き離した。

「知ってるかい?マグルの言い伝えなんだけど…」
アーサーはルシウスの手をそっと包み、その手の甲に口づけた。
「この小指には運命の赤い糸が結ばれていて、その糸の先には運命の恋人がいるんだって」
「…お前の小指の糸はあの女に続いてるという訳か」
「察しがいいね」

君の赤い糸は誰と繋がっているんだい?
闇に続く道へ、君の糸は続いているのか?


「君は、綺麗だよ」

アーサーは再び手の甲に口づける。

万感の思いを込めて、口づけをした。
これが2人のための決別になるように。
自分の思いが唇からルシウスへ届くように。
その思いが彼の命を守るように。

ただ祈るばかりだ。
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