現パロ部屋

□変温
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ジェスネ高校二年生
シリル風味です

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「寒い」

この真夏に、隣でシャーペンを走らせていた彼が小さくつぶやいた。

「へ?」

ちらりと横を見れば、唇を紫に、顔面蒼白なセブルスがじっと目をふせていた。
この季節には珍しく長袖のワイシャツのボタンをきっちりと首元までとめている。

「冷房が…」

ゴオンゴオンと機械音がする方をセブルスが見上げたので、僕もつられて見上げた。

「あーちょっと冷房強いかもね、ここ」

僕にはちょうどいいけど、と付け足した僕の格好は黒のポロシャツをボタン3つもあけて、制服のズボンを少し捲ってる。
もちろん靴下は真っ赤なスニーカーソックス。夏男ですから。

「じゃ、帰ろう。続きは僕ん家で」

セブルスは少し意外そうな顔をしてみせた。
その頬に僕はそっと触れてみる。

ひやり
僕の体温が彼の頬に吸い込まれていくような感覚。

「うーんよく冷えてる」

「人を西瓜みたいに言うな。不愉快だ」

「ごめんごめん、さ、片づけて」

セブルスはぶすっとしながら分厚い教科書とノートを片づけていく。

今日は明後日の試験に向けて学校の図書館に来ていた。

ェームズが苦手としているのは化学。
スネイプが得意としているのは化学。
何の迷いもなくセブルスの力を借りようと即決した。

ホームルームが終わるとすぐに下駄箱に駆け出して、セブルスを待ち伏せし、なんとか図書室での課外授業をこじつけたのだった。

「ふわ…あれ、ジェームズもう帰んの?」

向かいの机で教科書を開いたまま突っ伏して眠りに落ちていたシリウスが声をかけてきた。

「ん、ちょっとここは冷房がね」

「ほんと、女子みてーだなースネイプは…」

「こんな冷えてる中でぐうぐう眠れる君が鈍感すぎるんだと思うよ、シリウス」

シリウスの隣で「チョコレート料理のレシピ100選」といった試験に全く関係のない本を余裕の笑みを浮かべて読んでいたリーマスが言う。
こんな余裕なことをやっていても彼はいつも高得点獲得者の称号を得ることができるから不思議だ。

「でもセブルス、本当に冷えは体に良くないから気をつけてね」

「どうも…」

セブルスが早く立ち去りたいと言わんばかりの顔で僕を睨みつけてきたので、じゃーねーと手をひらひらさせながら冷えた図書館を後にした。
校舎の外は太陽が容赦なく照りつけてくる。
アスファルトから蒸し返
る熱気が、確実にジェームズの癖毛を膨張させている。

セブルスの頬にもわずかな赤みが戻ってきた(とはいえまだまだ色白には変わりないんだけど)

「ジェームズ…」

「はい?」

「なんか暑くなってきた。そこでアイスを買っていこう」

暑さなど微塵も感じさせないセブルスが言うのには説得力が欠けるが、鼻の汗をぬぐうのに必死だったジェームズは迷わず「いいよ」と言った。

「何が食べたい?」

「おごってくれるの!?」

「今日は財布を持ってきてない」
わがままできまぐれな君は、まるで変温動物みたいだね。
そんなことを一人思って、真夏でも涼しいを顔をする恋人をますますいとおしく思うのだった。



FIN

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