現パロ部屋
□変温2
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再び現代パロジェスネ
若干ギャグ
高校2年生です。
季節は冬になりました。
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変温2
「寒い」
「…へ?」
声のする方を見れば青白い顔をしたセブルス・スネイプ。
教室内だというのにマフラーに膝掛けまでしている。
黒地に赤の可愛らしいチェックの膝掛けはどう考えても彼の趣味ではない。
「君、その膝掛けどうしたの?」
「リリーにもらった」
「…似合ってるよ。可愛くて」
マフラー越しの意外な答えに、戸惑いながらも笑ってみせた。
いつもならここでいらいらしたように「そんなこと言うな気持ち悪い」と言ってくるのだが、寒くてあまり喋りたくないのか、木枯らしのような視線をくれるだけだった。
「ポッター、手を出せ」
「ん?」
言われるままに手のひらを彼に出すと、チャリ…と小銭が渡された。
不意に触れた指先が冷たかった。
「セブルス?」
「何か、温かいものを買って来い」
「え、一緒に行こうよ。自販機ならすぐ…」
「廊下に出たくない」
「確かに廊下は窓の隙間風で寒いけど、あーわかった行ってくるよ。あったかいのね!」
あんなに弱々しい様子を見せられたら断れな
いな!と頼りにされたことでジェームズは嬉しそうに教室を出て行った。
『単純で助かる…』
その後ろ姿を見たスネイプは密かに上がった口角をマフラーで隠した。
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食堂の扉の前でジェームズはうろちょろと自動販売機の前を行き来する。
「とは言っても何がいいのかな…」
温かいい飲み物はたくさんある。
だがたくさんの内セブルスが一番喜ぶ飲み物は何なのか…。
「どうしたのジェームズ、まるで名探偵コ○ンが黒タイツの犯人が誰なのか推理してるような顔をしちゃって」
食堂の方からリーマスが歩いてきた。
リーマスはなんだかんだ言ってセブルスと仲がいい。
「リーマス!君、セブルスの好み知らない?」
「少なくともメガネは範囲外だと…」
「そうじゃないよ!飲み物の好みなんだけど!ていうかメガネ範囲外なの!?」
「無難に紅茶とかでいいんじゃないかな」
バタバタと足音が聞こえて見慣れたイケメンが手を振りながら駆けてきた。
「リーマス!チョココロネ買っといたぜ」
「わあ〜ありがとうシリウス。あ、お財布忘れちゃった」
「いいよ今度で」
ちなみに、その「今度」が成立したことは一度もない。
仲良
さそうな二人に若干羨ましさを感じながらジェームズはシリウスにも聞いてみることにする。
「シリウス、一応聞くけどセブルスの『飲み物』の好み知ってる?」
「なに?スネイプの好み?あー…これなんかいいんじゃね」
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「おまたせ!」
「本当ににお待たせだ…遅かったじゃないか」
セブルスはジェームズが教室を出たときと変わらない出で立ちで座っていた。
「はい、これ…」
そう言ってジェームズが渡したのは、黒々とした字で「おしるこ」と書かれた缶だった。
『甘いものは嫌いだ…』
セブルスは突っ返したい衝動に駆られジェームズを睨んだが、そこには誉めてもらえると期待に満ちた顔しかなくて、怒る気持ちは急激に萎んでしまった。
甘いものは苦手だけど、ジェームズが一生懸命自分のためにと考えたことを思うと怒るどころか嬉しくなってしまう。
「ありがとう…ジェームズ…」
「よかった!喜んでくれて、それ、シリウスのお勧めだったんだ」
その後、この世の終わりのような顔しておしるこをすするジェームズが見かけられたとか。
FIN