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□Hourglass
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この夏がずっと続けばいいと思っている。
逆転時計で何度でも繰り返したいくらいだ。
空の澄んだこの季節が好きだ。
いつもどんよりとこの国を覆う雲もなく晴れた空に我先にと、伸びゆく植物の美しさ。
何よりも君がいる。
僕の隣に君がいる。
希望を与え、与えられ、
互いに切磋琢磨し競うと同時に手をとって、
本当に充実している。
この夏は、人生で最も濃い季節になるよ!
…君はどう感じてる?
出来上がっている詩さながらの言葉を紡ぐ。
当たり前のようにアルバスのベッドに仰向けに寝転がり、机に向かっているベッドの持ち主に問いかけた。
「ゲラート、本当に君は…素直だね」
アルバスは椅子に座り直し、体ごとこちらに向けてくれた。
彼のそういった誠実なところをゲラートは気に入っていた。
たわいのないこういった質問から高尚な議論も全て、彼はしっかり受け止め反芻し、答えてくれた。
こんな人はいなかった。
今までは誰も僕の命題を解いてくれる人はいなかった。
いや、解こうにも解けなかったのかもしれないが。
「もちろん僕も、君と出会えたこの夏に感謝してもしきれないよ」
ブルーの瞳がキラキラと光る。
夏の豊かな日差しが彼の瞳で乱反射しているようだ。
ゆっくりとアルバスは立ち上がり、ゲラートの足がある方のベッドの端にそっと座った。