main/HP

□Hourglass
1ページ/5ページ




この夏がずっと続けばいいと思っている。
逆転時計で何度でも繰り返したいくらいだ。


空の澄んだこの季節が好きだ。

いつもどんよりとこの国を覆う雲もなく晴れた空に我先にと、伸びゆく植物の美しさ。


何よりも君がいる。
僕の隣に君がいる。

希望を与え、与えられ、
互いに切磋琢磨し競うと同時に手をとって、
本当に充実している。
この夏は、人生で最も濃い季節になるよ!

…君はどう感じてる?


出来上がっている詩さながらの言葉を紡ぐ。
当たり前のようにアルバスのベッドに仰向けに寝転がり、机に向かっているベッドの持ち主に問いかけた。


「ゲラート、本当に君は…素直だね」

アルバスは椅子に座り直し、体ごとこちらに向けてくれた。

彼のそういった誠実なところをゲラートは気に入っていた。
たわいのないこういった質問から高尚な議論も全て、彼はしっかり受け止め反芻し、答えてくれた。
こんな人はいなかった。
今までは誰も僕の命題を解いてくれる人はいなかった。
いや、解こうにも解けなかったのかもしれないが。

「もちろん僕も、君と出会えたこの夏に感謝してもしきれないよ」


ブルーの瞳がキラキラと光る。
夏の豊かな日差しが彼の瞳で乱反射しているようだ。

ゆっくりとアルバスは立ち上がり、ゲラートの足がある方のベッドの端にそっと座った。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ