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□大切な日だから
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「今から出かけるぞ、支度しろ」
そう言って部屋を出ていってしまったXANXUSの背中を、丸くした眼でだた見ていることしかできなかったスクアーロは、バタンという扉が閉まる音でハッと意識を戻した。
「な…なんなんだぁ…いきなり……」
未だに眼を丸くしているスクアーロは、しまった扉を見つめたまま呟いた。
なんたっていきなり出かけるとか言い出したんだぁ?昼飯に変なもん入ってたかぁ?…気まぐれかぁ?ハッ!荷物持ちの代わりなのかぁ!?…冗談きついぜボスさんよぉ……いやいやもしかしたら普通に俺と出掛けたかっただけとか……ありえねぇよなぁ……
頭を抱えてそんな仕様もないことをつらつらと考えている間にも時間は経ってしまう。
今から出かけると言われた手前、あまり待たせると後がどうなるか身を持って知っているスクアーロはノロノロと着替え部屋を後にした。
スクアーロは支度ができたことを報せるべくXANXUSの部屋に行こうとしたら、「ボスならもう出たわよ?」とルッスーリアから聞いたのでくるりと方向を変え玄関へと向かった。
玄関を出ると、真上に昇っている太陽に眩しさを覚えた。
そこには既に黒光りする車が用意されており、その傍らにはXANXUSが立っていた。
「遅いぞカス…早く乗れ」
スクアーロの姿を捉えたXANXUSは一言そう言い放ち、そそくさと運転席に乗り込んだ。
「う゛ぉぉおぉぉい!XANXUSが運転するのかぁ!?大丈夫なのかぁ!?俺が運転するからぁぁ!」
「るせぇっ!早く座れ!」
「マジかぁあ゛ぁぁ!!」
ぜってー死ぬっ!悲惨な死に方するゥウゥゥゥゥ!と悶絶しながらも言われた通り助手席に腰を下ろすスクアーロ。
助手席に座り頭を抱えて「どうか事故りませんようにぃ!無事に着きますようにぃぃいぃぃ!」とひたすら拝んでいるスクアーロの願いも悲しく、車はスクアーロがシートベルトを装着したと同時に物凄い猛スピードで駆け出した。