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□忘れない―永久に No,3
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君の言ったその言葉

この上なく嬉しくて

僕の中の風船は

また一つ膨らんだ




忘れない―永久に




眩しい朝日が窓から降り注ぐ中、布団から上半身を起こした少年は決意の目をしていた。

昨夜はあまり眠れていないのか、目の下にはうっすらクマができている。


「よしっ…」


そう小さく、しかし力強く呟くと彼は布団から飛び出し、制服に着替える。

部屋の壁には野球関連のポスター、畳張りの床にはスポーツ雑誌があちこちに散乱している。

どれを見ても野球に関係しているようだ。

着替えを済ませ、朝食を取りに部屋を出て行く彼の名は山本武。

彼の通う並盛中学校、野球部のエースだ。

長身でバランスの取れた全身、性格も極めて温厚で、周りの人々からの信頼も厚い。

誰にでも分け隔てなく接することのできる彼の笑顔は本当に爽やかで、見る人全てを笑顔にする。

そして何より女子からの人気は学校内で一二を争うほどだ。

こんなに全てがほぼ完璧に揃っているのだから彼女の一人や二人、できてもおかしくはないと思うのだが、彼は生まれてこのかた付き合ったことはない。

それは彼の愛する野球が彼自身の生活の半分以上を占めていたからというのもあるだろう。

しかし少なくとも今は違う。

何故なら彼には気になる人がいるのだ。

彼が告白すれば、どんな女性だってすぐに了解すると誰もが思うだろうが、今回ばかりはそうもいかない。

彼が恋しているのは、彼自身も驚くことに同性、つまりは男なのだ。

しかもその人は彼にとって親友という位置付けにある、とても大切な存在。

それゆえに失うことを恐れ、この想いは胸にしまい込んでいたのだが、胸の奥に奥に追いやるたびにその想いは肥大していくばかり。

さらには友人や本人にまでが彼の心の葛藤に少しずつ感づかれていた。

その本人というのは沢田綱吉、通称ツナ。

山本はいつの間にか、気づいたときにはツナに恋をしてしまっていたのだ。

そしてもう一人の友、獄寺隼人には成り行きでそのことを知っている。

事実上これを知っているのは世界中で山本本人と獄寺の二人だけだ。

そして獄寺が山本に言った言葉。

それは予想外のもので、しかしそれは山本の背中を後押しするものだった。

だから山本は決意できたのだ。

彼に気持ちを伝えるために…
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