Dream

□└ White Requiem
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White Requiem







白い壁 白い天井


白いカーテン 白いシーツに


白い 真っ白な腕。



ただ白く 血の気を感じる事が出来ない

ただ白く うっすらと蒼さすら感じさせる程に。


無機質な迄の、白。








白い、細い手首に巻かれた華奢な銀のブレスレット。

たった一つだけ
どうしても、捨て去ることが出来なかった。



『「アナタに出逢えて、良かった。

  生まれて来てくれて
  此処に、側に居てくれて

  本当にありがとう」』

独り、呟いた。

誕生日に大切な人に、貰った言葉。
大切な、最上級の贈り物。

一筋だけ、涙が零れた。



貴方に出逢えて良かった、なんて。

もう、伝えることは出来ないけれど。



銀鎖を見つめて幸せそうに微笑むと、その手首を抱き締めて
目を、閉じた。






白い壁 白い天井


白いカーテン 白いシーツに


白い ただ真っ白な。




ここが、この部屋が、彼女の終わりの場所。

愛する人も
肉親すらも


誰もいない

何もない

この白い部屋で、彼女は独り消えてゆく。

大切な記憶だけを抱いて。




誰も、憶えてはいない記憶を。







END



…NEXT STAGE…
『極東より愛を込めて』
(相変わらず死ネタです)



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