ツンデレ1週間

□1日目
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01
始まりは突然とかよく言うけどホントに突然だったよ




キッチンに入ったら母がめっちゃ嬉しそうにこっちを見た。
そしてとんでもないことをサラリと言った。

「おはよう名前。突然だけど、お父さんと旅行に行ってくるから帰るまでお母さんの友達の家に泊まってね☆」

な ん だ っ て ?

「ふざけんな」
「ふざけてないわ。大真面目よ!」
「ふざけてるわ!とくに顔が!!」
「笑顔なのに?!まあひどいっ」
「その笑顔が笑顔を通り越してニヤニヤしてるんですよ!!」
「あらやだついにやけちゃったわ」

なにが「つい」だよ
この人なにを企んでいやがるんだ


「うふっうふふふふふっふっふっふぅ〜」


「…………」

なにこの人
笑い方がキモイ
更に顔が尋常じゃないくらい緩みまくってやがるし猛烈にキモイ
そんなことを思っているとは露知らず、母は上機嫌に話す

「あのね、その友達の息子さんがね、すっごくカッコイイのよ!」

「…へえー」

出たよ重度のイケメン好き
というか私には関係ねーと思いますけども

「でね!その子ったらテニス部レギュラーなんですって!!しかもあなたと同い年!」

「…ふーん」
だから関係ないって

「でねでね、なんと同じ学校!!家も近くてー」

いやだから関係ね…………………………んん?


「ちょっと待って。同じ学校?」

「ええそうよ」


私が通う学校は四天宝寺
同い年ということは2年
テニス部で2年のレギュラー
たしかそれは…


「母さんの友達ってさ、もしかしなくても…財前さん、とか?」

ほぼ確信の一言
これで違うと言ってくれたらたまらなく嬉しいのだが

「あら!!よく分かったわね!!」


現実は甘くなかったようだ


マジでか。マジであの財前さんなんですか
すっげー繋がりがあったもんだ
ていうかこの流れってホントに居候しなきゃいけないんですかね
オイオイ勘弁してくれよ
あの噂のイケメソ(らしい)財前さんとひとつ屋根の下とかさ
確実にファンに殺されるフラグですよお分かりですかお母様


「母さん……私はここにひとり暮らs「ダメよ!!!!!!!」まだ途中なのに全力で拒否された!」


ひとりだって平気なのに
たしかにちょっと寂しいけどファンに殺されるより遥かにマシじゃい!

「ひとり暮「ダメよ!!」なんでだよぉおお!!!」

なんで駄目なの!?
そう言うと母は真面目な顔をした。

「女の子でしょ?」
「っだけど…」
「だけど、じゃないわ」

いつもふざけてる分、真面目な顔や言動をすると恐い。逆らえない何かがある。
ああギャップっていうのかなコレは。


「女の子がひとり暮らしなんて危ないわ。それが名前なら尚更よ。絶対戸締まり忘れるし」

「ぐぅ…」
たしかに戸締まりに関しては否定出来ないけどさ


「母さんの友達でもその人達、私は知らないしさ…なんて言うかその……気まずいじゃん」

てかこわい。知らない人、こわい。これ本音。


そして一拍。
母から爆弾発言が。


「大丈夫。貴方は一度会ってるわ」

「は?」
「小学校上がる前だったから覚えてないでしょうけど」
「………」
「だから知らない人ではないわ。ホラ!準備して!今日中に運んじゃうんだから!!」

「ぇ、あ、うん」



母よ。


私はそんな記憶ないぞ。
会ったことあっても記憶ない時点で知らない人と変わらねーと思うんですけど

ていうかね、もう諦めたよ。


私、きっと
いや絶対
ファンに殺される




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