ツンデレ1週間

□3日目
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朝から下ネタとか勘弁してください




朝、目を開ければ。


「す―…」

「……………」


端正な顔が目の前にありました。


「ぎゃああああああああああああああぁぁあっ!」


「女の子」とはほど遠い叫び声をあげ、ベッドから転げ落ちた。
しかし即座に起き上がりまだ安らかな寝顔で安らかに寝息をたてている少年を凝視する。

「なっえっ!?なんで一緒に…!!?」
記憶を必死に辿っていたその時、足音が響いた。



ダダダダダ……バタァン!!



「名前ちゃんっ!?」
「恭子さん!扉が壊れます!」
名前の大声に驚いて起きたらしい恭子が部屋に飛び込んで来た。

とくに問題のなさそうな名前にホッとしながらも詰め寄る。
「あない悲鳴あげて…何があったんや?」

「え?あ―…いや、」

目覚めたらアナタの息子さんの寝顔がドアップだったんでビックリしました。

………なんて言えるか。


「虫が、いて…ビックリして…その〜」

言い訳をしてみたが、目は泳ぎまくっていた。
それを不審に思った恭子はあるものを目ざとく見つけ、気付いた。

「名前ちゃん、アナタの布団…そこに畳んであるな」
「!!」
「あと光の布団、不自然に捲りあがっとるなぁ」
「…!!」
「まだ暖かいなぁ」
「………!!!」
「名前ちゃん」
「はっ…はい…」



怒られると思い、ぎゅっと目を瞑った。



「……ようやった!!!!」
「え?」
「ようやってくれた!!」
「いや…あの…なにが?」



次に恭子から発せられた言葉は、名前をパニクらせるには十分だった。



「光とヤッたんやろ?」







「………………はぁあああああ!!??」

名前は一気に真っ赤になった。


「ああ〜聞き耳たてとけば良かったなぁ〜」
「いやいやいや息子のを盗み聞きって…てかしてませんからね!!?」
「うっそや〜ん☆」
「うそやないです!!!ほんとにヤッてませんから聞いて恭子さん!!!!!」



その時うなり声が聞こえた。
「…うっさい」
声の主は不機嫌そうに眉をよせ、こちらを睨んでいた。
迫力満点のその眼力にも怯まず恭子は爽やかに笑った。

「ナイスや光!!」
「あ?」
「名前ちゃんとヤッたんやろ!?」
「はあっ!!?」

その一言で覚醒した光は飛び起き鼻息が荒い恭子を変なものを見るような目で見た。


「…おかん、頭大丈夫か?」

「バリバリokや!!」

「恭子さん鼻血が出てます!鼻血鼻血!!」

「ああ見たかった…!」
「だからしてないですって!」
恭子にティッシュをつめながらも名前は叫ぶ。
「……」
ティッシュをつめられている母を冷めた目で見る息子。



「あ。」
妄想に浸っていた恭子は何かを思い出したらしく、鼻血を垂らしながらも普段の美人に戻った。
「朝ご飯つくらなアカンねん。じゃ、朝からごちそうさま!!」

「だからちがっ」



―バタン。


静かになった部屋に、ふたりの声が虚しく響いた。
「…………なんで一緒に寝てんですか」
「……お前が風呂入ったあと俺のベッドで寝てたんやろ」
「………なんで一緒に寝たんすか」
「…………移動させんの面倒やったから」
「…………」
「…………」



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