18 ツン逃走事件 朝、息苦しさに目を開けたら 端正な顔が目の前にありました。 「……ッッッ!!?」 前にも同じようなことあったためなんとか声は出さずにすんだ。 しかし状況が違う。 なんてったってこの目の前のイケメンが私の体に腕を回してガッチリホールド状態なのですからね。 どうしてこうなった…!? 昨日どちらにしても恥ずかしい経験をしたというのにこれは一体どういうことなの とにかくこのイケメンゾーン(?)から離れなければ 「…ぐっ」 なんだこの力は まったく動かないじゃないか! 「う」 「!」 起きるか?起きるならさっさと起きてくれ!!あ、やっぱり待って起きないで。私まだ昨日のこと整理しきれてないの。だから目を覚まさず腕の力を抜きなさい財前の光くんやい! なんて葛藤をしていたらほっぺたになにかが。 思わず見上げれば超至近距離で目が合った。 「…」 起 き て る ! しかもほっぺたにある大きな暖かいこれって手じゃないか…? ちらりと目を動かせばやはりそれは手で。 自分のではなくて。つまりはこの目の前の。 「ぁああぁの光さん!?」 「ん」 「はははなして…!」 「…やだ」 うわあああああ!やだってなにソレかわいいいいい!抱きしめたいよー!でも私が抱きしめられてるーはっははー……って暴走してちゃダメよ私。クールになるんだ私。この目の前の誘惑に打ち勝つんだ私!! 「おはよう朝だよ起きようか」 「んー…」 「こらこら目を開けようか」 ぺちんと叩くと眉間に皺が。 あ、目開いた。 「……」 「起きた?起きたよね?起きようか!」 早口で捲し立てて頭を上げようとしたがなぜか上がらない。それもそのはずだ。 何故ならほっぺタッチがまだ続いているのだから。 治まりかけていた動悸が再び復活する。 このままだと私の心臓が爆発するんじゃないか…? 「名前…」 「なに…っうぇ!?」 名前呼んだと思ったらなにをしているのこの子ーー!!!!でこちゅーしてきやがったよーーー!!なななななななななななにごと!?朝からなにこの混乱の極み!ポ○モン風に言うと名前は大混乱しただよ! ブッ飛んだ行動をとった張本人はピシッと目を見開いたまま固まった名前を満足そうに見て起き上がったかと思えば。 「えええ…」 ベッドにダイブしていた。 なるほど恒例の二度寝か こうやって自分のベッドで寝ればいいのになんで私の布団に入ってたんだろうか 昨日といい今日といい 「一体光になにが…」 わからないから考えるのはやめにして 未だに全力疾走する心臓を抑えた |