『貴方だけの華』
□まえがき
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ここは鬼の通う“鬼ヶ里高校”。鬼頭の木藤華鬼の花嫁、朝霧神無がそこに通い始めて数日。ようやく落ち着いてきたところに、再び事件が起ころうとしていた。
ここはその鬼ヶ里高校の保健室。
「ちょっと麗二ー!どういうこと!?」
「どういうこと、とは?」
おそらく保健医のことを差して言っているのであろう、麗二と呼ばれた男性は返事をしながらお茶を淹れていた。
「おー水羽。朝から元気やなぁ」
「光晴までいたの!?」
保健室の椅子に座って、独特の喋り方で彼に話しかけてきた青年は士都麻光晴。そして、保健室に飛び込んできた青年は早咲水羽。最後に保健医の高槻麗二である。
「当たり前やろ。信じられんようなことが起ころうとしてるんや」
「信じられないこと、ですか?」
淹れ立てのお茶を光晴と水羽に渡すと、二人共それぞれお礼を言った。
「あれ、麗二、知らないの?」
「あれですよね、華鬼本人は自覚無しですが、神無さんとは別にもう1人刻印を残してた、っていう…」
「知ってんじゃん」
麗二が知っているとは思っていたが、本当に知らなそうな反応をしたので彼は少し呆れ顔になった。
「ほんま何考えとんじゃ、あの馬鹿は」
「今回ばかりは、そう言わざるを得ないね…とにかくさ、迎えに行ってくれる?」
「…俺?」
光晴は半信半疑で自分を指差して尋ねた。すると残りの2人が満面の笑みで「しかいませんねぇ」「しかいないよね」と同時に言った。
「…行けばええんやろっ!」
「物分かりが良くて助かるよ」
そして光晴は保健室を出て、その子を迎えに行った。
「扱いやすい人ですねぇ」
「本当助かる」