『時と時の狭間で』
□出会い
1ページ/3ページ
「くっそ〜!今日は本当についてないぜ!…報酬の金額は安いし、まともな依頼も無いし…挙げ句の果てには衛兵に追いかけられて…何なんだよ、全く」
愚痴を散々言いながら夜のクラドを歩いて行くのは、茶髪で茶色のコートをはおった貧乏探偵マキシミン・リフクネだった。
「金さえあればなぁ」
ドンッ!
「うおっ」
「わぁっ」
前を向いてなかったマキシミンは、赤いベレー帽をかぶった、これまた前を向いてなかった人物とぶつかってしまった。
「いってぇなぁ…」
「な、何だよ!先にぶつかったのは、そっちだろう!?」
「ぶつかるのに先も後もねーよ。お前がちゃんと前を見て歩いてないのが悪いんだろ、お坊ちゃん」
人の事を言えないと思うのだが、そんなことも気にせず責め立てる。
「な!?まあいい。君と遊んでる場合じゃないんだ。僕は先を急いでるんだ!じゃあね!」
「ああ、二度と会わないように祈っとくよ!」
早足で赤いベレー帽をかぶった少年は何処かに行ってしまった。
「チッ、今日は本当ついてねぇ。さっさとシャドウ&アッシュに戻って報酬もらうか。期待はできねぇけど」
そう言いながら、クラドのワープポイントに行き、シャドウ&アッシュのあるナルビクまで飛んだ。
「ったく…これじゃ、酒が飲めないどころか、生活することもできないんじゃねぇのか?」
1人でぶつぶつ言いながらも、傭兵ギルド『シャドウ&アッシュ』に向かっていた。
「依頼片付けて来たぞ〜」
「お帰りなさい」
入り口でマキシミンに声をかけたのは、受付のベクレール。あまり表情を表に出さない、言わばポーカーフェイス。
「よぉ」
「言葉を慎んでください」
「はいはい」
注意されているのに全く反省せずに適当に流している。
「そういえば。あなたに新しいペアができましたよ」
「ペアか…」
「ルベリエ様がお呼びでしたから、行ってみてはどうですか?」
「ああ、わかった」
さらに奥へと向かい、ルベリエがいる所についた。
「来たか。」
「あ、お前は!」
「ん?あの時の女々しい奴!」
「知り合いだったのか?」
「知り合いじゃねぇよ、こんな奴」
「知り合いじゃありません、こんな人」
2人は相手を差しながら同じようなことを同時に言った。