『時と時の狭間で』
□初任務
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「何やってんだ、はやく行くぞ」
「あ、ちょっと待って!」
イスピンは、しばらくの間立ち止まって何かに思い耽っていたようで、マキシミンがイスピンを呼ぶまでぼーっとしていた。
「ったく、報酬が減ったらお前のせいだからな!」
「な、何で!?」
「何があったか知らないが、仕事してる時は考え事なんてするな。ただでさえ俺は金を必要としているんだ。これ以上報酬を減らしてもらっては困る」
「僕が言ってるのは、そういうことじゃ…」
「とにかく行くぞ」
2人は久々のギルドからの仕事である魔物を討伐しに来ていた。ここはクライデン平原4。そう、2人はゼリーキングという名の魔物を討伐しに来ていたのだった。ゼリーキングは、大量にポイズンゼリッピという魔物を生み出し、それが街まで来てしまうと厄介なのでこうして討伐に来ているのだ。厄介なのはポイズンゼリッピは毒性のある攻撃をするからである。
また、ゼリーキングを倒すと落とすアイテムである『ゼリーキングの証』はレア物らしく、狙っている者は彼ら以外にも大勢いる。今回、彼らはそのゼリーキングの証を持ち帰ることが仕事内容だった。
「別に俺達が倒さなくてもゼリーキングの証だけ持ち帰れば良いんだろ?」
「ゼリーキングを倒して、ゼリーキングの証を落として行く馬鹿なんているわけないよ」
「…盗めば良いだけさ。」
ニヤッと嫌な予感のする笑みを浮かべるマキシミン。
「まぁ、そう上手くはいかないと思うけど。」
あっさりと常識的なことを言って、そのままマキシミンを置いて先にゼリー平原に行ってしまった。ゼリー平原とは、その名の通りゼリーキングが出現すると思われる場所…というより住み処。
「夢のねぇ奴だなぁ。俺だってそんなに簡単に手に入るなんて思ってねーよ」
なんて、独り言を呟きながらイスピンの後を追いかけた。
「ちょっと、ゼリー平原にはどうやって行くの?」
(まだ行ってなかったのかよι)
「ねぇ!?」
顔をぐいっと近付けて訴えるように言い放った。
「魔物の羅針盤。」
「何それ?」
「お前、聞いてなかったのか?ι」
ちゃんとしているのかと思えば、天然な一面があり、マキシミンの表情には呆れと驚きしかなかった。