『時と時の狭間で』
□ピンクの湖畔
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「あぁー…ったく、何で報酬のほとんどを取られなきゃいけないんだよ」
ナルビクが陽に反射してさらに眩しく感じる中をぶつぶつと独り言を言いながら歩いて行くのは傭兵ギルド『シャドウ&アッシュ』所属のマキシミン・リフクネ。
今日もまた、クエストショップで受けた依頼の報酬のほとんどをシャドウ&アッシュのギルド長『ルベリエ』に取られてしまったようだ。
「君が借金するのがいけないんだろう?」
不意にマキシミンの背後に現れたのは彼のペア、イスピン・シャルル。
ギルドは大抵、2人1組で行動しているのだ。
「いつの間に!?」
「ついさっき」
急に声がして、驚きを隠せないでいるマキシミンに冷静に答えた。
「あのさ、お願いがあるんだけど」
「何だ?」
「探すのを手伝って欲しいんだ」
「何を?」
「ペンダント。形見なんだ…お母様の…だから…」
「ったく…で、どこで無くしたのを気付いたんだ?」
「(なんだ、優しいところもあるんじゃないか)…えっと、気付いたのはワープポイントの近くなんだけど、もしかしたら盗まれたのかもしれない」
「嫌な予感がするな。」
そう言うとマキシミンは考え込んでしまった。
「どうして?」
「闇市にでも出たらどうするんだ。とりあえず、マグリノアワインで情報収集するぞ」
「わかった。」
ーマグリノアワインー
「よぉ」
「おぉーマキシミンじゃアーリマセンカー!ワタクシに何かヨウデスカ?もしかして一緒に飲んでクレルンデスカ?」
この変わった口調の人物はマグリノアワインによくいる『超難漢』という人物だった。それにしても聞き取りにくい話し方だ。
「ちょっと聞きたいことがあるんだ(死んでもコイツとは飲まねぇ)」
「(今、軽くスルーした気がι)」
「ワープポイントの近くで落とした物があるんだが…その辺りに盗んだ奴のアジトとかあったりしないか?」
「え?」
「…なんだ?」
おそらく、イスピンが疑問に思ったのはこうだろう。何故、『盗んだ奴』と確信付けているのか。
「誰かわかるの?」
「まぁ、最近スリとか多いらしいしな。」
イスピンはマキシミンが微かに焦っている…というより様子がいつもと違うような気がしたが、今は深追いしなかった。