『TRUSTAR』
□序章編
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「つーかさ。」
腰に手を当て、偉そうにする焦げ茶色の髪な青年はガシッとしゃがみ込んだ青年の頭を掴んだ。
「何や?」
頭を掴まれている理由もわからず問いただすと、彼は呆れた表情で「晴希、お前ちゃんと探したのかよ」と言った。
どうやら、しゃがみ込んだ青年は晴希というらしい。その晴希と呼ばれた青年は見上げたまま即座に「失礼な!」と言い返し、続けて「そーいう潤斗は!?」と言った。もう1人の青年は潤斗というらしい。
「俺はお前とは違うんだよっ」
そう言いながら晴希の額を突いた。所謂デコピンだ。
「痛っ!暴力反対や!」
「どっちが悪いんだか」
「潤斗やろー」
赤くなった額を擦り、目尻に涙を浮かべながら訴えた。
「あ。」
「あ?」
潤斗が短く言ったことに晴希が短く答えた。
「榴咲…ここだ」
「ほんまや!俺って天才やな!」
「ばーか。見つけたのは俺!やっぱちゃんと見てなかったな!」
「好き放題言いおってー!」
そう言ってふてながらすくっと立ち上がった。
「さーて!望みのお姫様は、いるかなーっと」
「何や潤斗、楽しそうやな」
「まあな〜」
そして、2人は“榴咲”と表札に書かれた家に入って行った。