まるマ

□栄養不足
1ページ/1ページ


最近どうも調子が悪い。それが今、村田健の一番の悩みだった。

勉強にも身が入らないし、本を読むにも集中出来ない。好きな筈のサッカーの中継を見ても、なんだか楽しくない。

知らずに疲れを溜めていたのかと思い、夜は早くに眠りにつくようにした。それでもまだ本調子が戻らない。心の奥底に何かがつっかえている。

ある日、村田は用も無いのに近くのデパートに出掛けてみた。何とかしてこの原因不明の憂鬱を消してしまいたくて、必死だった。

すると村田は、そこでとある人物に会う。

渋谷有利、村田健の親友。

有利は村田を見つけると、にこやかに近付いて来た。

「あれ、村田じゃん。何してんの、こんな所で」
「君こそ、何してるのさ、こんな所で」

村田は胸がすっと晴れるのを感じた。今まで散々まとわり付いてきたモヤが、嘘のように消えてしまった。

「おれ? おれはお袋の付き添いで――」







ああ、君だったのか。














渋谷くん不足な村田さんなのでした。

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ