まるマ
□栄養不足
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最近どうも調子が悪い。それが今、村田健の一番の悩みだった。
勉強にも身が入らないし、本を読むにも集中出来ない。好きな筈のサッカーの中継を見ても、なんだか楽しくない。
知らずに疲れを溜めていたのかと思い、夜は早くに眠りにつくようにした。それでもまだ本調子が戻らない。心の奥底に何かがつっかえている。
ある日、村田は用も無いのに近くのデパートに出掛けてみた。何とかしてこの原因不明の憂鬱を消してしまいたくて、必死だった。
すると村田は、そこでとある人物に会う。
渋谷有利、村田健の親友。
有利は村田を見つけると、にこやかに近付いて来た。
「あれ、村田じゃん。何してんの、こんな所で」
「君こそ、何してるのさ、こんな所で」
村田は胸がすっと晴れるのを感じた。今まで散々まとわり付いてきたモヤが、嘘のように消えてしまった。
「おれ? おれはお袋の付き添いで――」
ああ、君だったのか。
渋谷くん不足な村田さんなのでした。