まるマ

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イライラする。

何で俺がこんなに沸々としなければならないんだ。それもこれも、みんな天然たらし元ヤン好青年のせいだ。


――お前が好きなのは俺だろう。


突然あんなことを言っておいて、奴はあの後すぐにその場を立ち去った。一言も喋らずに、だ。つまりは言い逃げ。

そして何事も無かったかのように毎日を過ごしている。いつものように、ユーリ陛下にひっついてにこにこと笑っている。

俺にはそれが許せない。一人モヤモヤしている自分が阿呆みたいじゃないか。

だから俺は、文句を言ってやろうと思ったのだ。人をこれだけ動揺させておいて、何をへらへら笑っているんだと。ただ一言「冗談だ」と言わせれば、何もかも終わりだった。終わりに出来る筈だった。

俺はウェラー卿に向けて歩を早めた。

何なんだ、あんたは…

坊ちゃんと「キャッチボール」とやらをしている彼は本当に楽しそうで、また俺の心を掻きむしった。文句を言ってやる、文句を言ってやる…

大きく息を吸い込む。心臓がやけに高鳴った。

「…あんたは、俺だけ見てれば良いんだよ!」

2人の驚く顔が目に焼き付いた。





こんな筈では。









10.06.21

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