まるマ
□2
1ページ/1ページ
イライラする。
何で俺がこんなに沸々としなければならないんだ。それもこれも、みんな天然たらし元ヤン好青年のせいだ。
――お前が好きなのは俺だろう。
突然あんなことを言っておいて、奴はあの後すぐにその場を立ち去った。一言も喋らずに、だ。つまりは言い逃げ。
そして何事も無かったかのように毎日を過ごしている。いつものように、ユーリ陛下にひっついてにこにこと笑っている。
俺にはそれが許せない。一人モヤモヤしている自分が阿呆みたいじゃないか。
だから俺は、文句を言ってやろうと思ったのだ。人をこれだけ動揺させておいて、何をへらへら笑っているんだと。ただ一言「冗談だ」と言わせれば、何もかも終わりだった。終わりに出来る筈だった。
俺はウェラー卿に向けて歩を早めた。
何なんだ、あんたは…
坊ちゃんと「キャッチボール」とやらをしている彼は本当に楽しそうで、また俺の心を掻きむしった。文句を言ってやる、文句を言ってやる…
大きく息を吸い込む。心臓がやけに高鳴った。
「…あんたは、俺だけ見てれば良いんだよ!」
2人の驚く顔が目に焼き付いた。
こんな筈では。
10.06.21
→3