まるマ
□幼馴染み、夜の会話
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「まるで太陽みたいだ」
そう言って、少年は初めて、笑った。
幼馴染み、夜の会話
いつからか、幼馴染みとの夜の酒飲みが恒例となった。野郎二人で酒を呑んでもちっとも楽しくはないのだが、不思議と気分が落ち着いて、一日の締め括りには丁度良い。ただ一緒にいたいからという事もあるのだが、そんな事は口が裂けても言えない。
「のどかー」
目の前の大男が、だらしなく机に突っ伏した。
「こんなに穏やかなのに、夜が明けたらまた遠征かー。あー、やだやだ」
「あまり嫌そうに聞こえないな」
「そりゃあそうでしょうよ。グウェンダル閣下からの命令だぜ? 俺、結構閣下の厳しいところって嫌いじゃないね。こう、妥協が無いっーの? 何処までもついて行きます、閣下!みたいなー」
若干、グリ江モードだ。
「ま、そういうとこ似てるよな、あんたら兄弟は。特に長男と次男が」
「俺が、グウェンに?」
意外な意見を貰って、思わず聞き返す。「まさか」
「もー、そっくり。頑固だし、部下思いだし、ユーリ陛下にメロメロだし」
「おい、誤解を招くような言い方は止めろ」
「だってそうだろ? グウェンダル閣下は生粋の可愛いもの好き、あんたは…」
机に突っ伏したまま、顔だけ上げて上目遣いに見詰められて、ほんの少しドキドキしたことは秘密だ。
「なんだよ」
「まるで親バカだ。見てるこっちが恥ずかしい」
ふん、と鼻を鳴らして、酒を煽った。余計なお世話だ。
「何だかんだ言って、ヨザ、お前だって陛下にゾッコンじゃないか」
「ゾッコン、ね。お前も言うようになったな」
からかったつもりが、逆にニヤニヤされてしまった。何だか癪だ。
「ま、この国でユーリ陛下を愛さない者はいないだろうよ。あんなお方は初めてだ」
「ああ」
「まるで…そうだな、太陽みたいだ」
「…」
俺はグラスに口を付けかけて、止めた。
「それは賛同しかねる」
「ええっ」と、ヨザックが心底驚いた声を上げる。
「そりゃあまた、何で」
「太陽は…この世に一つだからだ」
そして、太陽は既に存在している。
「へえ、じゃあ隊長にとっての太陽は別にいるって訳だ。一体誰だ?」
「覚えてないのか?」
「何が」
キョトンと顔を向けられる。