その他

□Stray cat
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私は迷っていた。

あの日、親族相続法の講義を聞き流しつつ小説を書いて、でも本当にこれで良いのかと葛藤していた。

小説を書く事は好きだ。が、しかし仕事にしてしまうのと趣味とでは、色々なものが変わってくる。例え金にならなかったとしても、私はそれを続けて行けるだろうか?

そうやって迷いながら書いた小説を、火村は無遠慮に、ただ黙々と読んだ。

火村は、冷徹という訳ではないが、どこか人間愛に欠けている。そのせいか友人も少なく、女っ気も無い。(私が言うのもなんだが)他人への興味が人より薄いのかも知れない。

そんな彼は無類の猫好きで、雨の中捨てられた猫を見ると拾ってしまう癖がある。

そして私は迷っていた。


「その続きはどうなるんだ?」


そう話し掛けて来た彼には、私が雨に凍える野良猫にでも見えたのだろうか。



fin.

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