年末CD企画

お嬢さんの秘密のダイアリー
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*Angel beats!
ユイ視点
転生後捏造注意!






4月2日

今日は特に何も無かった。
いつもと同じベッドで過ごす日々。この前、テレビでバンドを見た。すごく格好良かった。ドラムも捨てがたいけど、やっぱりギターだよね。
ユイが元気だったらギター練習するのになぁ
絶対上手くなって、皆の憧れの的になるのに。



4月27日

今日は病院に行く日だった。お母さんが仕事をわざわざ休んでまで病院に行った。行ってもあんまり意味は無いのに。だって、どうせお医者さんの返事は変わらない。
もうユイ分かってるよ?
いつまで隠し続けるの?
本当のことが知りたいよ。


5月5日

今日はこどもの日だった。
男の子は兜を飾ったり鯉のぼり作ったりするらしいんだけど、ユイは女の子だからやらない。
柏餅ってどんな味がするのかな。今まで食べたことないからわかんない。
お母さんの話だと、甘くてもちもちしてて美味しいらしい。
面白そうな食べ物だと思った。


5月14日

変わった夢を見た。
ここ最近よく見る。
なんだかよく知らないけど、誰かと一緒に笑ってた。
すごく幸せだった気がする。
でも、誰と一緒にいるのか、よく思い出せない。


5月31日

注射なんて嫌だっ!


6月12日

久し振りに外に出た。
いつも見る景色は車の中か部屋の窓からだったから、凄く新鮮だった。
今日知ったことだけど、隣の大きな空き地がグラウンドになるみたい。いいなぁ。

6月28日

グラウンドの工事が始まったみたい。いっぱい車とかが来てる。
音が五月蝿いけど、あんまり気にしない。だってどんなグラウンドが出来るのか楽しみだから。
誰かお友達ができないかなぁ。

7月7日

今日は七夕だった。晴れてたから天の川が見えた。
今頃織姫と彦星は幸せなのかなぁ。
でも、一年に一回しか会えないなんて辛いよね。
ユイだったら川を泳いで会いに行くな。


―――7月30日、13時41分。

今日はすごく暑くて、ぽわぽわした陽気だった。
それでも私の体は動かない。まさに夏!って感じの天気だったのに。
テレビでみたあの大きなプールに行きたい。
でも、今は家に居なきゃいけない気がする。
誰かを待ってる気がする。
でも、誰を?

その時、私の部屋の窓がものすごい音を立てて割れた。びっくりしすぎて声も出なかった。酸素が足りない魚みたいに口をぱくぱくさせることしかできなかった。
視界の端で何かが動いた。
恐る恐る首を向けると、それは野球ボールだった。
多分これが窓を割ったんだろう。

変なものじゃなくて良かった、と安心した瞬間、お母さんが血相変えて部屋に飛び込んできた。
真っ直ぐユイの前まで来ると、どこも怪我してない!?変な人が入ってきてない!?と尋ねた。
ユイが大丈夫、多分アレのせいだよ。と野球ボールを指差すとお母さんもほっ、とため息をついた。

お母さんは、誰のでしょうね?とボールを拾い上げ、ほうきとちりとりを取ってくるから。と言って部屋を出ていった。
割れた窓か熱い空気が流れ込んでくる。グラウンドはもう完成していた。

しばらくすると、ピンポーンというチャイムの音が聞こえてきた。
どうせ郵便か何かだろうと思っていたけど、どうやら違うらしい。盛大に謝る声が聞こえて、きっとあのボールの持ち主なんだな、って予想がついた。
胸の鼓動が速くなった。ある瞬間を待ちわびるように、速くなっている。
どうしてだろう。でも、悪い心地はしなかった。

ぱたぱたとスリッパの足音がする。どうやら持ち主さんがこっちにお母さんと向かってきてるみたいだ。
どんな人なんだろう、と考える。女の子かな。でも声が男の人っぽかった。じゃあやっぱり男の人かな?なんて考えていると、お母さんがドアを開けた。

「隣のグラウンドで野球やってたらこっちに飛んできちゃったみたい。さぁ、どうぞ」

「あ、すみません……」

扉が全開になると、犯人さんが現れた。深く頭を下げたまま。

「すみませんっした!わざとじゃなかったんです!」

ふっ、と彼は顔をあげた。
なんでだろう。
あの青い髪も、あのワイシャツにグローブの姿も、そうだ、あたし飛び付いたんだ。いつどこでどうやってかは思い出せないけど。既視感。デジャヴ。そんな感じ。

「………あの?」

あたしが何も言わないから不思議に思ったらしい。でも、あたしは逆に何を言えばいいのかが分かんない。言いたいことはいっぱいあった気がする。でも分かんない。あぁ、そうだ、あたし、あれ?思い出せない。

「…………………」

「………?」

しばらく彼を見つめて、




あ、見つけた。




「おかえり」



ちゃんと、先輩はユイの所に戻ってきてくれました。




お嬢さんの秘密のダイアリー
(先輩に会うまでの、灰色の日々)








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