年末CD企画
□彼にとっては生きるか死ぬかの問題である
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※黒子のバスケ
最近黒子率高い
腹が減っては戦は出来ぬっつーけど、それは間違いない気がする。
腹が減ってたらぶっちゃけ何にも出来ねぇ。動くのもダルいし考えるのも面倒になる。
まあ、たまたまその日が部活オフの日だったらあんまり問題は無ぇんだろうけど(キツイけどな)。
To.カントク
Sub. [no title]
――――――――
今日は昼終わったら
すぐ猛練習するから
気合い入れて部活来なさい!
よりによってこんな日にこれは酷えんじゃねえのか!?
し、死ぬ…。
*
ピピーッとホイッスルの音が高らかに響いてこだまする。練習開始からまだ30分。ホイッスルの数は10回目だ。
「火神!ちゃんと気合い入れなさい!」
「……ウィッス」
「返事!」
「ウィッス…!」
ランニングではいつも余裕がある火神だが、今日はなんだか違う。最後尾にいて足元が覚束ない。いつもの躍動感が無い、とでもいうのだろうか。
相田リコは先程からそれに対する叱咤を繰り返している。
「バカガミ!もっと気合い入れんかコラァ!」
「やべっ、カントクがキレてんぞ…。火神!」
「ウィッス…っ!」
シュート練でも。
「ヤベッ…!」
「何レイアップはずしてんだ!」
「ナイスタップでレイアップ…。ヤバい、キタコレ!」
「………………」
「伊月、水戸部の視線が痛いよ」
「随分余裕ね伊月くん。というわけで腹筋50回いまからやってみよう!」
「キビシ!」
3on3でも。
「黒子!パスだ!」
「っ、あ、火神くん」
「へ?」
バコッ
ドサッ
「か、火神!?」
「…意識無いですね」
「なあ黒子、とりあえずその超速い往復ビンタやめね?」
終始駄目駄目な火神であった。
*
火神くんをとりあえずステージに寝かし(日向くん曰く放っときゃ目ぇ覚ますそうだ)、休憩中の黒子くんに訪ねる。
「ねぇ黒子くん。火神くん今日ちょっとおかしくない?」
「そうですね、いつもより抜けてる気がします」
「そうよねー…。何かあったのかしら」
「もしかして、失恋とかじゃん!?」
にょきっ、と小金井くんが入ってくる。
「いや、火神だしそれはないだろう」
「なんだよ、それどういうこと?」
「だから、火神は女に困らなさそうってことだろ?」
「そっち!?」
小金井くんを皮切りに土田くん、日向くん、伊月くんと面倒な面子が集まってきた。…私、黒子くんに訊いてたはずなんだけど。
「え、土田はどういう意味で言ったんだよ?」
「いや、俺もそういう意味だったんだが」
「そうなの!?俺はてっきり火神は女にモテないからだと…なあ伊月!?」
「まぁ、でかいし、うるさいし、馬鹿だし」
「あー、確かに」
「馬鹿だよなぁ、アイツ」
「いや、俺は火神モテると思うぞ?」
「なんでだよ、木吉」
「帰国子女だからな」
「そこ!?」
「じゃあ帰国子女じゃなかったらモテないのかな?」
「アイツの取り柄帰国子女だけ!?」
「それもそれで切なくね!?」
「ああもううるさーいっ!」
叫んで一発ずつ頭をチョップする。
「火神くんがモテるかモテないかなんて話はどうでもいいのよ!大体セリフ多すぎ!これじゃ誰が何言ってんのか分かんないじゃないの!水戸部くんに至っては喋ってもいないわよ?文字なんだから伝わってないの!」
「!!」
「カントク、世界観が崩壊するような発言は止めて下さい」
「オメーも世界観とか言うなだアホ!」
「で、話を本題に戻すけど、火神くんどうしたの?」
「だから失恋「コガはだあっとけ」
「はい、火神くんどうやら…」
ちら、とステージを横目で見てから、
「お昼ご飯食べられなかったみたいなんです」
と言った。
「はぁ!?」
私たち全員の声が重なる。
そりゃそうだ。理由が昼食だなんて、私の心配返せバカガミ!
「火神くん、今日財布を忘れてしまったみたいで。購買で何も買えないので朝から飲まず食わずだったそうです。朝もいつもと比べて軽食だった、って言ってましたし」
「黒子、金貸してやるとかメシわけてやるとかしてやんなかったの?」
「生憎、僕手持ちが少なくて。それに小食なので、僕のを少しあげても火神くんにとっては足りなかったみたいです」
「あー、なるほどね。でも昼飯でそんな、ぶっ倒れなくても、ねぇ?」
「いえ、そんなことないですよ。だって、」
彼にとっては生きるか死ぬかの問題である
(ぅ、あー………)
(あ、火神気付いたか?)
(Oh, Hey you! Please give me something to eat!)
(火神!?)