BASARA 佐幸佐 SS

□3000回のキス
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そっと天井裏から飛び下りれば、無防備な主の寝顔が俺を誘う。

「んでは、今夜も…」
身をかがめ、寝息に耳を澄まし、しばし、そのかわいい顔を見詰める。

ちゅ

その唇を軽く奪う。


俺様のご褒美。自分自身へのご褒美。
今日も一日、よく働きました。

さて、寝るか。

外してある天井の板の穴へ、飛び上がろうと体を縮めた瞬間、

「佐助」

呼ばれて、ぎくりとなった。

「お、起きてたの?旦那…」
「昨晩も起きてた」

ぎくりぎくり

「その前の晩も気が付いていた」

ぎぎぎくり

「なんとか言え、佐助」

うう

「すいませんでした…」
「うむ」
旦那は夜中には絶対に目を覚まさないと思い込んでいた俺様の不覚。
「何度このようなことをした?」
暗がりに顔を赤らめる旦那。
「え、えっと、3回…」
「正直に申せ」
「う。えっと…」
指折り数える振りをする。
「正直に言わないと、天井の板を打ち付けるぞ」
「…1年が365日だから…んで…旦那に仕えて…10年は経ってるし…」
旦那の顔から湯気が上り始める。
「任務や戦…戦は一緒にいたから除けないか」
「何回だ?!」
「数えきれません」
カチコチカチ。
旦那の頭が計算してる。かわいいな。

「もう明日からうつ伏せに寝る!」
「ひっくり返しちゃう」
開き直って言い返せば、
「枕返しかーー!」

夜中の大声はいけません。

「今度、そ、そういうことをしたいときは、昼間、某にきちんと言え」
「えええ?!」
「2度は言わん!寝る!」


布団を引っ被って転がった旦那をしばし呆然と見詰め、そのあとで、心の中でガッツポーズをした。


朝日が昇ったら、すぐに言おう。


〜おしまい〜

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