BASARA 佐幸佐 SS

□先生教えて!
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闇深い深夜の館の奥で…。
蝋燭の灯りがゆらりと揺れる…。
うごめく影が二つ…。


「ためになるでござるな!佐助!」
「んーー、まあまあ…かなあ…」


頭と膝を突き合わせて見入るは松永久秀さん発行の『あれ』の指南書。
佐助が密書と間違って奪ってきてしまったのだが、お館様への献上はやめて、直属の主へのお土産にしたブツだ。
佐助の予想では、
「破廉恥〜〜!」
とか言いながら、真っ赤になって逃げると思っていた主なのだが、
「ふむふむ…」
なんて、読み入ってしまっているのだ。

「旦那が書物を読んでる姿、初めて見たよ」
「うるさい」
幸村の頬が少し赤くなる。
「こういうの好きなら、春画でも持ってきてやろーか?」
佐助がニヤッと笑うと、幸村は、小首を少し傾げた。
「…違うな」
「ん?」
また指南書に視線を落としながら、幸村は言った。
「別にいやらしいことが読みたいわけではない。ここに書いてあることは、人間としての大事な営みのことで……」
「ちょ!熱でもあんじゃないの?!」
佐助が大げさに慌てて、幸村の額に手の平を当てた。
「某は真剣だ!」
佐助の手を、パシッと払う。
「今、某が一番知りたいことが書いてあるのだ!興味を持って当たり前ではないか!破廉恥な意味ではない!某は…、某は……」
幸村の大きな瞳がじっと佐助を見詰めた。
「某と佐助とのことで役に立つならと、真剣に読んでいるのだ!」
思わず赤面な佐助でした。
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