BASARA 佐幸佐 SS

□マイダーリン♪
1ページ/3ページ

「佐助、今戻った!」
幸村がパアン!と勢いよく障子を開けた。
ちょうど洗濯物を畳んでいた佐助は手を止め、幸村を見上げ、にっこり微笑んだ。
「お帰り、旦那」
「ちがーーう!やり直しぃぃ!」
そそくさと踵を返して、再び廊下へと戻って行った。後ろ手に障子がパン!と閉められる。
佐助は、ふぅっと息を吐いた…が、吐き切る前にパアン!と障子の空く音が!
「戻ったぞ、佐助!」
「お、お帰りなさい。だ、旦那…」
ずいっと幸村が佐助に顔を寄せた。


「だ ん な さ ま !だ!!」


ぼわっと佐助の耳朶が朱に染まった。
悪趣味な遊びだ!
まったく!


「なあ、佐助。佐助は某のことをなぜ、旦那、と呼ぶ?」
「そりゃあ、まあ、俺より偉い人はみんな旦那って呼ばせてもらってますけど?」
「他の者たちと同じ呼び方はいやでござる!某は佐助の主…ってだけではないはずだ!」
「う、うん。まあ…」
ぽっと頬を赤く染めながら、
「じゃあ…ゆ、幸村ぁなんて呼んじゃおっかなー…」
なんて小声で言う声は幸村の耳にまったく入らなかった。
「旦那様!だ!」
「へ?」
「今から旦那様と呼べ!いいな!」
「えーーーーーーー!」

主で恋人で。
恋人というより、もう、夫婦みたいなものなのだから。
旦那様で、全然おk。

が、新妻佐助はちっとも慣れないことに幸村は腹を立てている。

「旦那と呼んだら振り向かないからな!」
「んなの、恥ずかしくて呼べるか!」
「某とのことを恥ずかしいと言うのか!」
「そういうわけじゃないだろ!」
恥ずかしいことは恥ずかしい。
ばれてるのは分かっていても、周りに気取られないように気を使っている、つもりだ。
冷やかされたら、きっと、顔から火を吹いて死ぬ。

「よいな、佐助」
無敵の笑顔で微笑まれれば、仕込まれた条件反射で、体が勝手に頷いた。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ