BASARA 佐幸佐 SS

□事後。
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歩けない…。

なんて情けない…。

歩くと痛い…。

腰から下の骨がギシギシする。

なによりどこより、言えない場所が痛い…。

ああ!


木に登れない猿は、はるか遠くに見える木の枝を仰ぎ、あきらめ、木の根もとに寝転がった。

旦那は朝からやたらと元気だ。
元気過ぎて、何だかこっちの自信が無くなるくらい元気。
何か吹っ切っちゃった感じで、そりゃもうご機嫌。
それに比べて俺様は…。

どういうことよ、これ?!
旦那、ダメージないわけ?!
それって俺様がダメダメみたいじゃん!

「佐助」

旦那が陽の光を背に、俺の前に現れた。
薄目を開けて姿を認めるが、急に心臓がどくん!と跳ね上がって、慌てて目を閉じた。

どきどきどき

なんだこれ…。

「一緒に馬で、ちょと遠乗りしないか?」

馬!
無理!

「起きるでござる!佐助ー」

旦那が腕を引っ張っる。
握られた手がぼわっと熱くなる。
てか、手を握られただけで、かあっと血が巡る。恥ずかしくなる。

「いかない」

旦那の手を振りほどいて、体を丸くした。
うー。
治まれ、心臓。

「具合でも悪いのか、佐助」

「んー、まあ」

旦那が少し、申し訳なさそうな顔をした。
これはいかん。

「い、いや。眠いだけ」

余裕のあくびの一つでも。
んーーー!
と伸びの一つでも。

「い!痛てーーーーーーーーー!!」

腰からぴきーーんってきたよ、これ!
背筋駆け抜けちゃったよ、これ!!

「さ、佐助?!」

「う…」

情けなく、旦那の腕にすがった。
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