BASARA 佐幸佐 SS
□あらら。
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「だーー！どうなってんだ、これ？！」
「何事だ？！」
佐助の声の上がった部屋の襖を幸村は勢いよく開けた。
「…佐助？」
「のわああ！」
慌てふためく佐助の姿は…。
「お前、手が６本あるぞ？」
「うわああ！」
佐助の背に隠れた人物が、ひょこ、ひょこっと顔を出した。
「……佐助が３人……」
呆然とする幸村に、一番前の佐助が慌てふためいて言った。
「分身が消えなくなっちゃった。どしよおお！」
「…部屋の中で何をやってるのだ、お前は…」
「いや、あの、さ！洗濯物が溜まっちゃったし、武器の手入れもしなくちゃだし、掃除もしたいし、でさ！分身に手伝わしたらいいんじゃないかって…。んで、気合い入れて出してみたのはいいんだけどさ。意外にこれ、疲れるんだわ。…と、やっぱやめ！って思ったけど、気合い入れ過ぎたのか、こいつら消えない！！」
「……うざ…」
「え？！何か言った？！旦那！」
「…いや、何も…」
幸村は佐助たちの姿を眺めまわした。
「しかし、まあ…」
３人が幸村を見つめる。
「どれが本物か、わからぬな」
「！ 俺様が本物だから！」
佐助がはい！っと、片腕を上げると、それを見ていた２人が真似して片腕を上げた。
「あ、う。いいの！お前らはマネしなくていいの！」
「……うざ…」
「何か言った？！旦那！」
「…いや…」
「あ、そうだ！どっかに術について書いてある本があったはず…。ちょっと探してくるから」
佐助が立ち上がった。
言われた通り、他の２人はマネしないで座っている。
「おまえらも来るの！手伝え！」
「まあ、いいではないか…」
幸村が佐助の一人に手を伸ばした。
「ちょ！旦那！勝手にいじろうとするな！」
「本物とどこが違うのだ？」
「あ、それはね。そいつらしゃべらない。姿だけ写してるから」
「おおお！それはいいではないか！うるさくない佐助…。いいな…」
「ちょ！」
「一人貸せ」
「だめーーー！！」
佐助は２人の佐助の手を引いて立ち上がらせた。
「あー、もう！何やってんだ、俺様は…。ただでさえ忙しいのに…」
ぶつぶつ言いながら部屋を出ていく佐助と佐助たちの後ろ姿を見送りながら、幸村がにやりと笑った。