真田兄弟主従SS

□さすけさすけ
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「誰だよ!お前!」

「そっちこそ!」



「な!佐助が二人いる!!」



二人の佐助は、幸村の目の前で睨み合った。

「才蔵あたりだろう?俺に化けて何をしていたんだよ!」

真っ赤な顔の佐助が佐助の胸倉を掴みあげた。

「そういうお前が才蔵だ。俺に化けて何のいたずらしてたんだ?」

にへら、と佐助が笑った。

「やめるでござる!二人とも!」

幸村が間に割って入り、二人を引き離した。

「ねえ、旦那。才蔵のやつ、怒ってやってよー」

「う、うむ。…で、どちらを怒る?」

お互いがお互いを指差した。

「わからぬ…」

ちょっと佐助は傷ついた。
あの、にやけ顔!
俺様、あんな顔しないでしょうが!

「俺様、俺様だって証拠、言えるもんね!」

にやけた佐助が、幸村の耳元へ口を寄せる。
ち、近づきすぎ!
思わず拳が震える。
何やらごにょごにょ幸村に耳打ちすると、幸村の頬がぱっ!と朱に染まった。

「ね、俺が本物でしょう?」

「う、うむ。お前が本物だ」

「ちょっと待ったーー!何?何言ったんだよ!」

「……秘密だ」

幸村が恥ずかしそうにうつむいた。

「そそ!旦那と俺様の昨晩の秘密な情事についてをね」

「こら!」

幸村が可愛く佐助の袖を引く。

「そ、そんなん!才蔵なら覗いてたのに決まってんじゃん!!」

うー。重ね重ね、殴ってやりたい…。

「だって、旦那。才蔵、覗いてたんだって」

「まことか?!才蔵!」

「なんで、俺様が才蔵扱いになってんだよ!」

佐助は文字通り地団駄を踏んだ。
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