BASARA 佐幸佐 SS 2
□天然彼氏
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旦那とのデートで俺様は、三回死ぬ。
心臓的な意味で。
だって旦那は…
天然彼氏〜☆・:.,;*
わざわざ調べてやって来たラーメン屋の行列に、旦那はしぶーい顔をした。
男らしい旦那は行列なんか大嫌いだ。
だからといって、すごすごと引き返す旦那でもない。
つまりは、御機嫌とりと暇つぶし。
「ほい、旦那。どっちがいい?」
俺様が魔法のようにポケットから取り出したチュッパチャプスに、旦那の目が輝いた。
「バナナミルク!」
包みを剥いてやり、旦那の口に棒の付いた飴玉を放り込んだ。
30分はこれで持つ。
俺様も余った方のを口の中に入れる。
「……」
「何?お腹すいたけど、もうちょい我慢して…」
「やはりコーラがよかった!」
俺の口から飛び出してる短い棒を旦那が無理矢理引き抜いた。
カツッン!と軽く前歯に当った。危な!
旦那は慌てる俺になんか一向お構いなしで、コーラ味を…コーラ味を…パクリと口に咥えた。
ぐう……!
なんでこの人は…!
思わず口元を押えて顔を赤くしてる俺に、旦那は「ああ、すまん。交換な」なんて平然と、さっきまで自分の咥えていたバナナミルクを差し出した。
う……。
どうしろと……。
「なんだ?変な顔して。佐助もコーラがよかったのなら素直に言えばいいだろ?」
また口の中からチュポン!と飴を取り出して見せた。
ほら!って2本とも目の前に差し出されて、俺様の心臓はバクバクだ。
ああ…。
旦那の眉間に力がこもる…。
機嫌が悪くなる前に…。
旦那が俺様の口元にぐいっと押しつけるこれを…。
えい!っとパクリ!とやった。
「半分食べたら交換な」
そんなこと言う旦那に、ぼわん!と一発目のノックアウトだ…。
*
腹が膨れた旦那は上機嫌だ。
「うまかったか?佐助」
「なかなかだね」
「そうか。連れて来てやったかいがあった」
え?俺様が連れて来て貰ったの?何て、突っ込みは止めておこう。
だって、旦那は上機嫌だ。
俺様も嬉しい。
「映画の時間までまだ何か食うか?」
いや、それはさすがに…。
俺の苦笑いに、旦那はふむ…と顎に手をやった。
ちょうどゲーセンの前を通りすぎるところだったので、くいっと親指で指し示した。
「たまには遊んでく?」
旦那の目がキラキラ輝いた。
ふふ。
可愛いったら、もう!
って!
旦那が可愛いってわかってたはずなのに!
お金崩してくるね、なんて、旦那を一人にした俺様のバカバカバカ!!