*BL Original novel・2*
□Where you heart?(playボイスん。)
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『お前はそいつのことを愛しているか?』
マイクに囁く甘い声。
長身をTシャツとジーンズで包んで、長めの前髪がうっとおしい。
細く見えるけど、脱いだら凄い筋肉質で、照れると前髪やたら掻き上げて…。
台本を捲る長い指は…。
その息使いは…。
………。
はっ!!!!
こちらを向いた宮元さんが、僕にニヤリと笑いかけたのに我に返った!!
「悟弥くん、台詞ですよ?」
あああああ!!
ぼーっと、ぼーーっとしてたああ!!
「俺に見惚れてたか?」
ぬけぬけと言われてしまった!
その通りだなんて、絶対に言わないけど。
あたふたと台本に視線を落とす。
だけど、「一回止めます」と言われ、ほっとした。
隣のマイクから宮元さんがニヤニヤしながらこちらに近付いてきた。
台本で口元を隠しながら、
「思い出しちゃったんだろ?」
とか言ってくる。
「この台本(ほん)の探偵さんと宮元さんって、何だかほんと、似てるなって…だから…」
ここまではマイクで拾われてもいいけど、後は、僕も宮元さんにならって、台本で口元を隠した。
「……思い出しちゃいました…」
ぽっと頬が熱くなる。
宮元さんが前髪を掻き上げた。
「まあ…この悟弥ってのも…お前に似てるな。…俺に夢中なところとか」
そんなこと言ったら、どんな性格のどんなキャラだって、宮元さんと恋人同士や恋愛を演じれば、僕に似てしまうということになるじゃないか。
「ベッドで録音してくれりゃ楽なのに、なあ?」
この悟弥ってキャラなら、ここでこの探偵を一発殴っているだろうか?
何て事を想いながら、スタジオ内のソファーに置いてあった自分のリュックからペットボトルを取り出し、一口含んで落ち着きを取り戻す。
宮元さんが手を差し出すから、飲みかけのペットボトルを差し出した。一気に飲み干されてしまった。
「よっし!やりますかあ?悟弥くん?」
「はい、先生」
チョイ悪オヤジという役の顔で(…そのまんまじゃないか…)宮元さんが笑った。
ああ、いっそ!
全く違うキャラの方がやりやすい!
演技と…日常が重なる…。
『んじゃまあ、とりあえずベッド行くか』
『いやー!やだぁっー!!っ!んー、んー!』
確かこんなやりとりした覚えが…なんて…。
ああ、もう!
素になっちゃうよ!!
例のシーンは……
「全然下手くそだけど、そのくらいウソ臭い演技の方が俺としては安心だ」
と…。
今日の恋人役が言うから、よしとしよう…。
演技指導は、また今度…って!
絶対楽しんでる!
(おしまい)
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