*BL Original novel・2*
□さよなら
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すぐに仕事で一緒になり、親しげに話しかけられた。
周りからうらやむような視線が投げられるのがわかる。
そんなので、自分まで偉くなったような気がした。
「岩井君、この後空いてる?」
そんな嬉しい誘いを断る理由もない。
「はい!空いてます!」
思い切り愛想のいい笑顔を返してから、夕方からのバイトをキャンセルする電話をしようと、携帯を取り出した。
あ…。
今日が何の日か思い出したりした。
まあ、いいや。
電話口に出た店長に謝るだけ謝って、僕は年上のその人を追いかけた。
*
薄暗いバーのカウンター席で勧められるままにカクテルを飲み過ぎた。
「君を今度、親しい監督に紹介したいね」
「ぜひ」
カウンターに置いた手に、手が重ねられた。
「君のこと、気に入ったよ」
それがどういう意味かわかっていて頷いた。
だって、僕は、仕事が欲しい。
バーから出て、肩を抱かれるままにタクシーに乗り込む頃には、すっかり覚悟が出来ていた。
男の僕が、こんな手で仕事が取れるなら安いものだ…。
慣れた感じでシティーホテルの一室に通された。
その人がシャワーを浴びてる間に、携帯の日付を確かめた。
今日は…まだ時間がある。
促され、シャワーを浴びてくると、煙草の火を消した指先で顎を持ち上げられ、深くキスをされた。
舌が絡め取られ、きつく吸われるのに、頭がぼうっとしていく。
その人がベッドの縁に腰を降ろした。
「座って」
床を指差され、跪くように、その正面に膝をついた。
上から髪を撫でられる。
「舐めてもらえるかな」
目の前のその人のまだ反応していないモノに、恐る恐る手を伸ばした。
「手は使わないでいい。……あまり慣れてない?」
初めてだとは言えずに、ただ頷いた。
「…教えてあげるから、出来るよね」
ごくりと唾を飲み込んでから、目を閉じてそれに顔を寄せた。
口の中で反応して大きくなっていくモノに苦しくなり、喘いで口を離そうとする頭を押さえ付けられる。
「そのまま…、そう…頭を振って…舌を使って…」
涙目になりながら、口の端から漏れる涎を拭うこともできず、必死になって言われるままに頭を振る。
後頭部を押えた手に力が籠り、腰をぐいっと前に突き立てられた。
喉の奥まで達したそれに、瞬間に吐き気が沸き起こった。
思わずその手から逃れ、床に這いつくばって、嘔吐感に堪えた。
すぐさま腕を掴まれ、ベッドにうつ伏せに放り込まれた。
腰に差し込まれた手で、腰だけ高く掲げられた。
冷たい何かが尻に塗られるのがわかる。
シーツに顔を押し当てて、漏れそうになった声を押し殺した。
はあはあ…という背中に聞こえる荒い息遣いと……ただ襲う体を割られる激痛に、シーツを掻きむしり、顔の下のシーツは涙と鼻水でぐしゃぐしゃだ。
早く終われ、と心の中で思いながら、体を固くする。
ふいに、前に回された手が、僕のモノを握り、扱き始めた。
「あっ…、あ、あ…!」
強張った体を解くためだけに触れられ、さらに奥に打ち込まれる。
息が止まるかと思うほど身体を揺さぶられ、ひと際大きな痛みの後で、解放され、ベッドに沈んだ。
起き上がろうとしたら、足の間に何がが垂れた。
唇を噛み締め、最後まで泣くのを堪えた。
*